2009年10月24日土曜日

ヘッジファンドは儲かるのか?

(出所:http://nihongo.istockphoto.com/file_closeup.php?id=3129409&refnum=little_bobek
ヘッジファンドと言うと、非常に儲かり、年収も高く、アグレッシブに稼いでいるような印象がある。
ヘッジファンドに興味のある学生さんも、こう言う面に憧れる所もあるようであるので、まずは「ヘッジファンドって本当に儲かるの?」と言う、FAQの中でも最も多い質問に答えておこうと思う。


○「儲かる事もある」けれども、案外割りに合わないかも知れない

夢を醒ますようで申し訳ないが、実際の所はと言うと、「儲かる事もある」と言ったぐらいだろうか。
ディスプレイのクリック一つでびゅんびゅんトレードして大もうけ、だとか、ファイナンス理論を使ってスマートに大もうけ、と言った具合にそんなに楽なものではない。

細かい計算をした訳ではないが、雰囲気的には、単に年収面でのリスク/リターンを考えると、外資系証券でセールスなりリサーチなりの仕事をするだとか、外資系の伝統的な大手資産運用会社でアナリストでもする方が、リスクが少ない割に年収は安定して高いようにも思う。ベースサラリーもそこそこあるし、解雇されても美しい履歴書を維持している限りは転職先はどこかしらある。

ヘッジファンドだと中々こうはいかない。

外資系ヘッジファンドであれば、大手なら履歴書に書いても美しく、ベースサラリーも比較的高給な事もあるが、そうは言っても実績に大きく左右される。解雇の確率も外資系金融機関に輪をかけて高い。栄枯盛衰も極めて短期間で、2−3年前にはぶいぶい言っていたヘッジファンドが閉鎖とか大量リストラみたいな事になっているのは日常茶飯事である。マイナーなヘッジファンドに入ってしまうと不安定な度合いはさらに高い。

日本で独立しているヘッジファンドの過半は、AUM(Asset under management.運用資産額)の規模が、大きな利益が出るような段階、従業員を高給で雇えるような段階にない。無名ヘッジファンドに就職したは良いが閉鎖や解雇等の憂き目にあった場合、履歴書的にも美しくなくなってしまうし、その後のリカバリーは結構大変である。

実際の所は、「ほんの一部の勝者」が強烈に高い年収を総取りしていて、大多数は「結構やって行くので一杯一杯」な感じだと考えておいた方が良いと思う。

例えばヘッジファンドの年収ランキングを見ると、ジョージ・ソロス他有名なヘッジファンドマネジャーは年収(保有資産ではない、年間の収入)が1billion US$を越えていたりするが、これは自身の資産(ソロスなら保有資産自体が10Billion US$、1兆円以上はある)を自身のヘッジファンドに投資していて、ヘッジファンドで年率10%とか20%のリターンを上げているのでこう言う年収になる、と言う事である。こんな同業者は業界内でほんの、ほんのごくごく一部に過ぎない。

また日本人では、何年か前にタワー投資顧問の清原氏が「100億円部長」として有名になったが、こう言う事もごくごくまれで、業界のほんの一部、ほんの一時期に過ぎない。

大多数の人々は、「リスクの割にさほどでもないサラリーで何とかやっている」「ヘッジファンドで独立したり、独立したてのヘッジファンドにジョインしたは良いが中々軌道に乗らず、閉鎖の憂き目に遭う事も多い」と言うのが実情である。この辺の事情は、以下の書籍が参考になると思う。

ヘッジホッグ―アブない金融錬金術師たち (単行本)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%B0%E2%80%95%E3%82%A2%E3%83%96%E3%81%AA%E3%81%84%E9%87%91%E8%9E%8D%E9%8C%AC%E9%87%91%E8%A1%93%E5%B8%AB%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3-%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B9/dp/4532352401/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1256408322&sr=1-1


○ヘッジファンドの魅力

それでもヘッジファンドになぜ居るかと言えば、筆者の場合は、「運用の仕事がなんだかだ言って結構好きだから」「社内政治等の面倒に煩わされず、フレキシブルに運用する事に集中したいから」と言う感じである。

詳細は以下の本を参考にして欲しいが、大手の運用会社に居ると、理想的な運用とは程遠い面倒さ、サラリーマン運用の悲哀と言うのがやっぱりあるものである。

僕はこうやって11回転職に成功した (単行本)
http://www.amazon.co.jp/%E5%83%95%E3%81%AF%E3%81%93%E3%81%86%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A611%E5%9B%9E%E8%BB%A2%E8%81%B7%E3%81%AB%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%97%E3%81%9F-%E5%B1%B1%E5%B4%8E-%E5%85%83/dp/416358580X

こう言う面倒から離れ、純粋に運用、投資、トレーディングに打ち込みたい、と言う事を追求していくと、ヘッジファンドに行き着く、と言う面はあるように思う(注)。

そんな訳で、学生の皆さんとしては、どのみち日本のヘッジファンド業界の状況では、新卒でヘッジファンドに入ると言う選択肢は無い(注)と言う事もあるし、ヘッジファンド業界に入る前に、まず一般の証券会社、運用会社に入ってみてから、本当にヘッジファンドでやって行くのが良いのかどうかを考えてみて頂ければと思う。ヘッジファンドに入るのはそれからでも全く遅くはないと思う。

注:そうは言っても、ヘッジファンドでも大手になってしまうと社内政治対応とかの面倒もある。2009年現在では東京からは撤退してしまったが、本社がシカゴにある大手ヘッジファンドCの東京法人辺りは「高年俸だがその辺の面倒がある事で有名」だった。

注:米国では10Billion US$(日本円で概ね1兆円)以上の額を運用する規模の大きいヘッジファンドもあり、そう言った大手のヘッジファンドだと、最近は新卒を雇っている所もあるようである。しかし日本ではそこまでの規模のヘッジファンドはないし、規模の大きくない所は新卒の育成等をしている余裕は全くない。このため、新卒採用はないと言うのが現実の所と言える。

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