2009年11月21日土曜日

何を勉強すれば良いのか? 〜新卒内定前その2:ハード面とソフト面を1点づつ〜

(出所:http://www.istockphoto.com/

前回の続きである。

今回は、学歴要件以外の面での、「外資/日系大手のマーケット関連職種のフロントオフィスで内定を得る確率が上がりそうな勉強事項」について書いてみたい。また、学歴面で劣勢の学生さんがリカバリーする方法等についても多少触れておこうかと思う。


○ハード面とソフト面

内定を得る際のポイントとしては、英語力、資格、インターンシップ経験と言った”仕事をさせて有能そうか””最低限必要な知的体力があり、将来成長しそうなポテンシャルがあるか”を示す「ハードスキル/経歴面」で比較的大きめのネタを1個用意出来るようにしておく事に加えて、人柄の面白さ、アクティブさ、学生時代の人生経験の広さ深さ等を示す「ソフト面」での分かりやすいネタを1個位を用意出来るか、と言う所だと思う。

ハード面だけで「僕は私は優秀だ」のオンパレードだけだと鼻に付くし、ソフト面だけだと友達としては面白いかも知れないが一緒に働くメンバーとしてはちょっと、と言う事になる。

このため、ハード面、ソフト面の両方あるのが好ましい。詳細は「面接の達人」であるとか、「絶対内定」とか、筆者も既にオジサンになってしまいどう言う本が現在出回って居るのかは分からないがその手の就職活動に関する書籍に任せるものの、基本的には「ハード面」「ソフト面」をバランスよく志望動機書なり履歴書なり面接時なりに分かりやすくパッケージにして将来性を売り込む、と言った事になると思う。


○まずはハード面から。

”仕事をさせて有能そうか””最低限の知的体力があるか”を示すハードスキル/経歴面では、以下のようなものが挙げられるだろう。

ここで重要なのは、「ハード面」と言った場合も、採用側は新卒の学生には「実務で即使えるような知識やスキル」を必ずしも期待していないと言う点である。即戦力が欲しければ中途を雇う。新卒を雇うのは、「将来の成長ポテンシャル」を買うためである。投資で言えばベンチャーキャピタルの投資のようなものである。現在のバランスシート上の資産(=知識量やスキル量)などどのみちたかが知れているため、アセット等の現状のストックを見てベンチャー企業には投資しない。将来の成長可能性こそがポイントである。

このため、ハード面と言う際、必ずしもファイナンスや会計や経済学の知識量を指す訳では無いと言う点に留意して貰いたい。あくまで、「将来の成長可能性を示せる、必要最低限の知的体力がある事を示すもの」である。下記の「本当にSolidな大学での研究や活動」の所でも説明するが、中途半端にファイナンススキル等をアピールすると、かえって不採用直行になりやすい面もあるので、その点留意頂けると幸いである。


・英語/留学

大学生の自己投資としては、まず英語をお勧めする。

TOEICで四捨五入して900点程度あると心強いし、採用担当者の目にもとまりやすい。これは外資に入る場合だけでなく、日系に入る場合も同様である。金融の仕事は基本的にグローバルであるし、教科書や読み物も英語が多いし、顧客や取材先が海外の事も多いので、英語は出来た方がとにかく良いと思う。もっと現実的な話をすると、転職者が多く労働市場が厚いのは主に外資系のため、英語が出来る事が就職/転職上も極めて重要である。英語が出来ないと社会人になっても転職出来る余地が極めて小さくなってしまう。

筆者の場合、学生時代に大学を休学して何ヶ月かNYで語学遊学(私費で語学学校に通いながら遊んで居たので留学とは言い難い)し、帰国後勉強して、就職活動時点でTOEIC825点(外資で仕事するには低水準)、内定後に勉強して入社直前にTOEIC890点(この位が就職活動時にあるのが元来理想)であった。後は入社先が外資だったので仕事で使っているうちに、「まあ上手いとはお世辞にも言えないが、仕事する上ではそう困らない程度」にはなったかと思う。

勉強の方法だが、一番手っ取り早いのは留学してしまう事である。

英語の場合、「全く喋れない、聞けない」と言う所から、「ある程度話せて聞けるようになり英語を学ぶのが楽しい」と思える段階に到達するまでのハードルが一番高く、この部分での集中的な労力と時間の投下が必要である。この段階で、毎日1時間の勉強を1年間やっても余り上達を実感出来ないと思う(そして挫折してしまう)。それよりも3ヶ月間、起きている間中英語漬けと言う期間を一回設けてしまう方が良い。集中的に脳を英語に慣れさせて、一度「ある程度聞けるし話せて楽しい」と言う閾値を突破すれば、その後は1日30分程度のリスニングなり勉強なりでも上達すると思う。

留学の場合は大学の単位互換、交換留学制度等を活用するのが一番良い。例えば、前回話した学歴要件の所が厳しい学生さん等は、留学先の学校がある程度以上の有名校(米国ならTop20〜最低30校位、アジア等ならその地域で言う所の東大、慶応位のトップ校で日本人でも名前を聞いた事のある大学)で、そこで1−2年間英語や何らかの専門分野を勉強しましたと言う流れに持って行けると、学歴面での不利をかなりの程度補う事が出来るかもしれない。取り敢えず面接に呼んでみようと言う事になりやすいだろう。

地域としては、サブプライム問題以降米国の地位が下がったとは言え、やはり教育分野では今でもまだ米国が一番強いだろう。ただし、将来的にアジア地域の成長に賭けてみたい、パンアジア全域の運用をやるとかしてみたい、と言う事を考えているのであれば、シンガポールや香港のトップ校、と言うのもアリかも知れない。英語に加えて初等レベルでも中国語が使えるようになると、昨今価値が高いだろう。

ちなみに海外で学ぶ分野は比較的何でも良いが、クオンツになりたいなら数学や統計関連、債券やデリバティブのセールスやマーケター方面なら理系分野かマクロ経済/計量経済学等、株の場合は哲学でも歴史学でも会計でもファイナンスでも別に何でも良い。この辺は各人興味の持てる分野でいいだろう。海外滞在時(あるいは帰国後でもいいが)についでに米国CPAでも取得してしまうと尚良いだろう。ここまでやると、特に外資での就職を考える際は、日本での学歴は殆ど関係なくなるだろう。

正規の留学が大変であれば、大学を休学するなり、夏休み+前後の授業を事前に関連教官に趣旨を話して(+その後の授業は真面目に出る等の埋め合わせも提案して)多少休むなりで、3ヶ月〜状況が許すなら半年位、私費で語学留学でもするのもありではないかと思う。色々な国の人と知り合うのは楽しいし、自然に英語の最初のハードルを越えられる。ただし私費の語学留学の場合は、現地で日本人とばかりつるんでしまわずに、真面目に英語で外国人と交流する事が重要である。語学留学しても、日本人とばかりつるんでいて一向に英語が出来るようにならず沈滞した生活を送っているような日本人は海外の語学学校ではどこでも散見される。そう言う層とは距離を置かないといけない。


・資格

簿記とか証券アナリスト試験の1次試験程度では、やる気のアピールの材料位にはなるかも知れないが、それ自体が評価される事はない。
この位の知識で「専門知識があるから金融に行きたい」等と主張されては採用する側も困る。この点勘違いしている学生さんが多いので注意が必要である。

ちなみに簿記は事業会社の経理等では不可欠かも知れないが、金融側では既に出来た財務諸表を分析するのが中心で、財務諸表自体を作る作業はしないので、簿記自体については余り深い知識は必要としない。時間があるなら簿記2級位取るのも良いかも知れないが、余り仕事の上では関係ないし、就職時も余りアピールポイントにはならないと思う。

一方で、公認会計士、米国CPAと言ったAccountingの大型資格を取得出来た場合は、特に株式関連や投資銀行部門等で仕事をする際にはかなり有利になるだろう。このレベルであれば知識/スキルそのものも評価される上、学生時代にそれだけのまとまった努力をして結果を出したと言う事自体も評価される。留学同様、学歴要件で不利な学生さんがリカバリーするには有効だと思う。


・インターンシップ等の経験

夏休み、冬、春等に外資系投資銀行等でインターンシップをやっているし、日系でも一部あると聞く。
米国証券アナリストの日本支部(CFAJ)でも、リサーチチャレンジと言って幾つかの大学に特定銘柄のフルレポートを執筆させて質を競うと言った企画がある。この手の話は志望動機のとっかかりにもいいし、勉強のきっかけにもなるし、業界人のカルチャーや雰囲気、自分への向き不向き、と言った面も分かると思うので、この手の活動に参加すると良いだろう。

「インターンをやって、楽しかったし、社員や業界のかたも魅力的だと思ったし、もっと深くスキルを付けてプロフェッショナルになりたい。」と言うのは、ありがちと言えばありがちだが、志望動機としては王道であり有効だろう。


・本当にSolidな大学での研究や活動

例えば、学会に論文を書いて発表して賞を取ったとか、そのレベルの本当に目立った活動があるなら、大学の勉強もハード面の売りとして履歴書や面接で使う事も可能である。この場合、特に分野は関係ない(勿論、物理、統計、ファイナンス、経済学等の分野であればその点について一定の評価はするとは思うが)。何かの分野でそこまで突き詰めて探究して結果を出した、と言う事自体が重要である。

ただし、「金融工学/会計/ファイナンスのゼミで徹夜で頑張りました、だから金融に入りたいし私の知識が御社に貢献出来ると思います」「大学の投資運用サークルで云々」なんてのは、ハード面のウリとして出せるものではないので、この点の注意を促しておきたい。こう言う学生さんは非常に多いのだが、不採用の典型パターンである。

筆者が過去に採用面接に関わった際の経験で言えば、「金融工学専攻」「会計専攻」「ファイナンス専攻」等と言う学生さんは極めて数が多く、面接の話を聞いていても誰も似たような話で、まず聞いていて印象に残りづらかった。また、大半の学生は本当に使えるレベルでの金融工学や会計やファイナンスの知識を、よくよく面接で詳細を聞いてみると持っていない場合が多かった。学部生で最初の1年は一般教養メインだとして、2年生位から1−2年、バイトなんかもしながら付け焼き刃でやった位では、所詮シロウトさんである。

「投資サークルが云々」の場合も同様で、そう言う事を言う学生は沢山居たが、過半が変な手癖だけついてしまうだけで、運用の実務で使えるレベルのしっかりした基礎が出来ている学生は非常に少なかった。

「金融工学/会計/ファイナンス専攻/投資サークルで幹事が云々で、それが志望動機でありかつ私の強みです」と言ってしまった場合、業界で実際にそれをメシの種にしている面接官と、オプション評価や企業価値評価、マーケットの機微について面接の際に話し込む事になる。この過程でボロが出てしまって、他に面白い強みやエピソード等が無いとなるとほぼ100%不採用になる。このため、はっきり言って9割がたの学生にとっては不利な売り込み方である。この点は留意が必要である。

こう言ったリスクが無い位に、本当にSolidな実績(つまりその分野であれば面接官に何を聞かれても完全に答えられる)が学業面であれば、ハード面のウリとするのも良いだろう。

随分長くなってしまったので、「ソフト面」については次回に回したい。

1 件のコメント:

  1. こんにちは。
    とても有益な情報を発信されているブログのようですね!
    大変助かりました、みることができてよかったです。
    有り難う御座います。
    大変為になり勉強になりますので、これからみさせていただければと思います。
    どうぞ、宜しくお願い申し上げます。

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