2009年12月12日土曜日

新卒の面接の作法:1億円(100億円)あったら何に投資する?と聞かれたら。




今回は、掲題の通り、「1億円(100億円)あったら何に投資する?」と言った質問をされた場合である。金融を受ける場合、比較的面接官に聞かれやすい質問である。


○ここでも、「金融専攻で〜君/さん」になるのは避けた方が良い。

投資の話なので、一見金融の知識を試されているように思われる。
しかし、「20%を日本株に、10%を新興国株に、後を外債とオルタナティブ投資で〜」等と答える必要は全くない。こうなると、面接官から更に金融知識面のツッコミを入れられ、どこかでボロが出てしまう可能性が高い。以下の関連エントリも参考にして、8割がたの学生さんはこれを避けるのが妥当であろう。



○志望動機と自己PRに質問をすりかえてしまうのが合格点かと。
こう言う質問は、結局の所志望者の思考のオリジナリティや志望動機を問われているに過ぎない。
従って、「1億円/100億円投じても良いくらい自分が大学時代に打ち込んで来た事は何か」「1億円/100億円を将来的に投資しても良いと思うような長期的な目標分野は何か」と言った質問にすり替えてしまい、自己PRや5年後10年後にどう言う金融プロフェッショナルになっていたいかの話をして、その実現のために1億円/100億円投資する、と言って締めるのが合格点と言った所だろう。
例えば特殊な分野で没頭している趣味があるなら、その分野へ投資する、と言ってしまえば良い。学生時代どれだけその趣味に没頭したかやそこから何を学んだか等を一緒に話せばオリジナリティが出やすいし、仮に実際には投資が現実的とは思えない話でも面接官は聞いてくれる可能性が高い。また、自分が没頭した分野で深い知識があった上で本当に投資として面白そうな分野を挙げる事が出来た場合には、「興味深い学生だ」と言う事で更に面接官の心証は良くなると思う。 


○具体例:強烈なアニメ/ゲームオタクが金融業界を志望する場合。

具体例として、「金融関連の知識はないが、強烈なアニメ/ゲームオタク」が金融業界を志望する場合を挙げておく。強烈なアニメ/ゲームオタクと言うと、一般にニートや引きこもりといった文脈の中で語られる事もあるし、就職活動では不利なのではないかと思われるかも知れないが、「徹底的にオタク」で、「スーツ着て就職活動をちゃんとやる位のアクティブさ」があれば、下手なファイナンス専攻君/さんよりもずっと採用の確率は上がるだろう。

「”日本発グローバルコンテンツファンド”の立ち上げをして、そのファンドに投資する事にお金を使いたいです。僕は自他共に認めるアニメ/ゲームオタクで、大学時代に1000作品以上のアニメを見て、100作品以上のゲームをやりました。コミケも参加しました。これがその時にコスプレして撮った写真です(本当にオタクならこの位は持っているだろう。真のオタクである証拠として面接時にこの位の小道具は持参しておこう)。楽しかったなあ。」

「結果、日本のアニメは世界でも非常にレベルが高く、停滞する日本経済の突破口として、アニメやゲームと言ったコンテンツ産業の育成振興は重要なのではないかと感じました。しかし、以前の自民党が挙げたような箱もの行政による支援では的外れのようにも感じました。アニメ制作会社等も予算が厳しい等、マネーが中々流れて来ないので苦労しているのが現状です。海外展開も出来るようで中々難しい。」

「そこで、1億円/100億円あったら、日本のコンテンツ分野に投資して、コンテンツ産業の種々の問題解決と産業振興に貢献したいです。例えばと言う事で、”日本発グローバルコンテンツファンド”と言う事で挙げてみました。」

「投資対象は、上場株でしたら、中大型株で言えば任天堂7974を始めとしたゲーム関連の企業、アニメではドラゴンボール他多くのコンテンツを扱う東映アニメーション4816、ガンダム関連の版権を持つ創通3711、エヴァンゲリオンをパチンコに展開する一方で鉄コン筋クリート等の高質なアニメを製作するスタジオ4℃に投資するフィールズ2767、押井守作品を手掛けるIGポート3791、キティ関連コンテンツを保有するサンリオ8136、携帯上で漫画を読む際のビューワや携帯上のまんがの開発ツールで業界標準になっている3829セルシス等があると思います。その他、携帯のコンテンツ関係の会社、レッドクリフ等映画に進出している7860Avex、一部テレビ局等も範疇に入るかも知れません。その他、コスプレ用雑貨や関連玩具等もコンテンツと考えれば、アパレルやおもちゃの会社も面白いかも知れません(注1)。」

「その他、非上場の投資先として、コンテンツの版権自体に投資する等で、ハンズオンでより国際的に認知されやすいようなコンテンツ開発を促したり、映画やDVDだけでなく雑貨、玩具、コスプレ衣装、携帯のコンテンツやゲーム、その他マルチチャネル展開をサポートするような方法も面白いと考えています。アニメ/ゲームなら私は相当オタクだと思いますので、チャンスはあるように思います。」

「金融の事はよく分かりませんが、御社で仕事しながら金融面の能力も付けて行って、こう言う事が出来るようになりたいと思います。オタクなので一つの事に没頭する自信はありますし、ファイナンスや会計もオタクの域に到達するよう頑張ります。これで日本のコンテンツ産業に適切に資金が流れる事に貢献し、もちろん御社にも利益が出るように貢献して、日本のコンテンツ産業が基幹産業の一つとして発展して日本経済の停滞打破に繋がるよう多少なりとも貢献出来ればと考えています。また、昨今ニートや引きこもり等が社会問題になっていますが、そう言った若者のうちアニメやゲームならと言った人達に活躍の場を提供出来る事に繋がれば最高です。」


・・・どうだろうか。きちんと通用し得る志望動機になっているのではないかと思う。面接官から、例えばアニメコンテンツがどう言う形で現在流通しているのか、版権等の権利処理がどうなっているのか、海外のアニメ業界の現状、業界の問題点、等色々聞いて来るかも知れないが、「真のオタク」であればどう言った質問が来ても常識として答えられるだろう。一方で、ファイナンス等については「私は金融は今はよく分からないが、凝り性なので速攻で何とかする」と面接者が言っている以上、面接官はあなたに金融関連の知識を問うような質問はして来ないだろう。面接官は知らないだろうが自分は深く知っている、こう言う分野で面接をするのが新卒面接のポイントである(社会人になって稼ぐ際のポイントでもある)。

どう言う部署になるか筆者には分からないが、直接的には、投資銀行部門の情報通信、サービス、ゲームセクター等の担当なり、ゲーム業界のアナリストのジュニアなりにと言うのはあり得るかも知れない。あるいは、アニメやゲームに関係ない分野にせよ、強烈に一つの事に没頭出来ると言う適性が買われて、そう言った適性が必要な部署からお呼びがかかる可能性もあるだろう。

ちなみに、このブログを読んで、実際にはアニメオタクでもないのにそのまま上記を真似して喋るとか、これを読んで「よし、じゃあアニメオタクになろう!」と言う事では駄目である(面接官から更に質問が来た時点で回答に窮するだろうし、熱意が伝わらないだろう)。

ポイントとしては、分野は何でも良いので、とにかく自分の土俵に持ち込む、「自分らしさ」が一番発揮出来る分野で話をすると言う事である。


注1:上記の例は、オタクではない筆者レベルの知識なので、本当にオタクだったら、他にも色々挙げられるだろう。また、挙げた銘柄等について、投資に対する意見等を表明するものではございません。投資の意思決定は各人の自己責任にてお願いします。当方では、この文章を読んで行った意思決定により発生したいかなる損害についても責任を負いません。また、上記の通り面接を行って採用されなかった場合等も、当方は責任を負いかねます。


外資の場合、もう採用過程も佳境に入っているかと思うので、面接の作法を少し急いで書いておく事にする。

1 件のコメント:

  1. 匿名2/14/2010

    大変面白く、就職活動もこれ位アクティブにまたやりたくなりました。

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