2009年12月22日火曜日

新卒面接のその他のTips

(出所:http://www.istockphoto.com/


今日は、今まで挙げた以外での新卒面接の幾つかのTipを紹介しておく。


○確率論の知識をテストされた場合はどうするか。
例えば、「競馬場に行きました。どう言うベットの仕方をすれば儲かると思いますか」「3つの箱があり、どれか一つに1万円が入っていますが外からは見えません。あなたが一番左の箱を選んだ所、司会者が一番右の箱を開けてこの箱には1万円が入って居ない事を示し、今から真ん中の箱に選び直す事も出来ると言いました。司会者はどの箱に1万円が入っているか知っています。あなたはどうしますか?」と言ったようなギャンブルや確率についての質問をして来る場合が、部署や面接官によってはありうる。クオンツやトレーディングの仕事だと特に、基本的な統計の素養は重要なので、しばしばこう言う質問が出されるのである。
前者については、「レースの序盤戦では穴馬にベットして勝ったら大数の法則が効いてしまう前に賭けるのをやめて勝ち逃げを狙います。最終レースでは皆穴馬に賭けて一発逆転を狙うためオッズが不利になると思うので、私は本命に賭けます。」と言った回答が取り敢えずは合格点だろう(ギャンブルと統計の世界は研究すると非常に奥深いので、もっと深い回答が出来るかたはより印象に残るとは思う)。競馬の期待リターンは概ね−25%程度であると言われている事、従って賭け回数を多くして行くと大数の法則により確実に損する方向に向かう事、最終レースは皆一発狙いに行くので穴馬のオッズが不利になりやすい一方で本命のオッズが有利になりやすいと言う考え方が出来るのではないかと言う事、この位を知っていれば良いかと思う。
後者についてはベイズ統計の基本的な知識で「真ん中の箱を選ぶ方が1万円が入っている確率が2/3で高いので、真ん中に変えます。」と言った回答をすれば合格点である。トレードをやる上では、情報が入って来る事でオッズが変わって来る、と言う思考は重要である。詳細を知りたい方は以下を参照して欲しい。
しかし一般的には、普通の学生がこの手の質問がどんな物が出て来ても即座に答えられるようにする、と言うのは中々に難しいものがある。分からない場合は素直に「現状分からないが、内定したら統計の素養をもっと付けるようにします」等と言って流すのが無難と思う。それで採用されないのであれば仕方無いと割り切るしかない(注1)。


○経済学、会計、デリバティブ等の専門的な質問をされたらどうすれば良いか?
これも先の確率論の場合と同様、分からないなら「分からないが、内定したら時間も十分取れるので勉強します。実務家の観点からも分かりやすくて参考になる書籍等あれば教えて貰えると助かります。」位で流してしまい次の質問に移って貰う事を期待する、と言う形で十分である。うろ覚えで間違った返答をしてしまった際の気まずさと比べるとよっぽどましである。
また、志望動機や自己PRで「金融工学専攻で〜」「投資サークルで運用を〜」と言った「御法度回答」をしてしまうと、面接官は学生の「専攻の本気度」「運用の本気度」がどの程度かを試すために、金融や確率について多少専門的な質問をして来ると言う流れになる事が多い。そう言う意味でも、「金融工学専攻で〜」「投資サークルで〜」等と志望者の学生の側から言うのは、本当に深く専攻していない限りは不利なのである。面接官はこの手の「相手の知識量を測る質問」は幾つか持ちネタとして持っている場合が多いし、大体は面接官の知識の多い分野から質問してくる。結果として、学生側が圧倒的に不利になってしまうのである。金融面の知識が不確かな場合、そもそも金融の専門的な話題を学生の側からあまりふらない事も重要である。


いきなりBloombergの株価チャートを見せられて、今後市場はどうなると思うか?と聞かれたらどうすれば良いか。


こう言う事も面接の中で時折あるが、これは質問する側も答えを知り得ない話なので、当たるかどうかは殆ど問題とはならない。上がるか下がるか、どた勘でも構わないので理由を思い浮かべやすいほうの結論を先に述べて、思いつく範囲で2、3の理由を説明出来ればいい。面接官は学生に対して、卓越した金融知識を基にしたプロフェッショナルな解説など求めては居ない。多少シロウト臭い説明でも構わないので、結論を最初に述べて、理由をある程度ロジカルに、自信を持った態度で述べられれば十分である。プロフェッショナルのエコノミストだってアナリストだって、皆自信満々に見通しをプレゼンテーションしては外していて、ファンドマネジャーだって儲かると思って色々Betしては損切りしているのだ。当たりそうにないからと言って萎縮する事はない。


○その他、分からない事を聞かれた場合どう対応するか。
一番重要なのは、最初に回答である「その点については分かりません。」と言ってしまう事である。学生さんで良くあるのが、分からないと言う事を隠そうとするために視点のズレた事を延々喋って、でも質問に対する答えになっていない、と言うケースである。これは歯切れが悪いので避けた方がいい。知的能力の面でも疑われるし、無知を認めず何とかごまかそうとする辺りの態度から、人生に対するスタンスも歯切れが悪い人なのかなと判断されるリスクもある。
「分かりません。」と結論を最初に言ってしまった上で、「多少質問内容からは話がずれるかも知れませんが、質問の内容と似たような経験としては過去○○のような事をした事があり、その時には△△のような結果で、××のように感じました。」「今は分かりませんが、内定後には時間があるのでキャッチアップしておきます。」と言った補足を入れる、と言うのがスマートだろう。
社会人になっても、顧客に分からない事を不意打ちで聞かれる事はある。そう言う場合に曖昧な理解/知識で論点のずれた話を延々してしまうより、「分かりません。持ち帰ってメールで折り返します。」とぱっと言える方がスマートである。分からない事を聞かれた場合は、そう言った事の前試験だと考えておくと良いだろう。

こんな所だろうか。就職活動も佳境と思いますが、読者の皆様の就職活動が素晴らしいものになる事を心より祈念します。

(注の解説)
(注1)興味のあるかたは、以下の書籍辺りが簡単に書いていて良いだろう。ブラックジャックのカウンティングのやり方等、金融マンの雑学として知っておいて良かろうと思う。
また、以下の書籍には、マーチンゲールの解説等が入っていて分かりやすい。
98年に破綻したヘッジファンド、LTCMのジョン・メリウェザー等はまさにマルチンゲールを地で行く感じだったと思う。無限に倍々の勝負が出来ればいつか勝てるが、弾が切れたらアウトである。中々Relative Valueのアービトラージは難しい。
その他、正規分布の概念を、パチンコの上から落ちて行く玉で表現する等、統計についての感覚的な理解を促してくれる以下も分かりやすい。
その他、期待リターンが極めて低い宝くじをなぜ皆買うのか、競馬の最終レースではそれまでカネをスッて来た多くの人がなぜ穴馬にベットしがちなのかと、オプションボラティリティのスマイル現象は基本的には、同様の心理的性質から来る。掛け金が極めて少額で、儲かると一発がでかいような勝負には、人間価値を感じるものだと言う事である。身の回りにある出来事を、こう言った形で金融と結びつけて考える癖を付けるのは良いと思う。
ちなみに、重ねて繰り返すが、上記書籍の知識位で「金融工学専攻で〜」等と言ってはいけない。筆者のやっている事は、金融業界で恐らく最もアナログな事である(企業に取材して、この経営者は何となく胡散臭いとか、信用出来るから投資出来るとか、そう言う事)。そう言う人間でも上記位は知っている、と言う事を知った上で面接にのぞむのがポイントである。

0 件のコメント:

コメントを投稿