2010年1月10日日曜日

映画「Matrix」と資本主義

(出所:映画「Matrix」)

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
皆様の一年が素晴らしい一年である事を心よりお祈り申し上げます。

○映画Matrixと資本主義

さて、今日は軽めの話で。
お題は「資本主義とMatrix」。

映画のMatrixは、金融市場、あるいは資本主義と言う仕組みそのものについて理解したいかたには、個人的にお勧めする映画である。筆者が例えばヘッジファンドなり運用会社なり立ち上げて、誰かしら人を採用する事になった場合、筆記の課題は「映画のMatrixを見て、”この映画と資本主義”と言うお題で好きなように思う所を書け」と言うお題にする事はまず考えるだろう。その位、資本主義について考える上でこの映画が示唆になっているのである。

○Matrixの最初の世界 〜日常〜

皆が会社に就職する。30年ローンで住宅ローンで家を買って、借金を返すために定年まで働く。それが当たり前じゃないか。親だってそうやって生きて来たし、これからもそうじゃないか。

一方で、違和感も感じている。企業が年功序列や終身雇用を維持出来るのは、経済の規模が増大している限りにおいてのみではないのか。自分も年を取ったらお払い箱になるのではないか。高齢化社会が進み、勤労者1人当たりで支えなくてはならない高齢者の数が増大していく中で年金制度が維持出来るのだろうか。

どこかに、今属している世界はおかしいのではないか、システムが適切に機能していない事が隠蔽されているのではないか、一度しかない人生が、会社勤めして住宅ローン払って定年まで過ごすと言う事で良いのだろうか、と言った違和感を抱きながら過ごしている。

それがMatrixのネオが暮らしている最初の世界である。

○白ウサギを追え

ある日パソコン上にメッセージが届く。

Follow the white rabbit.
「白ウサギを追え」

不思議の国のアリスと同じである。資本主義との関わり方で言えば、
ロバート・キヨサキ著の「金持ち父さん貧乏父さん」辺りの書籍を手に取った辺りがこの局面である。

やっぱりだ、自分の考えて居た日常の世界は、何かおかしい。

従業員とは収奪される側で、起業しないと”経済的自由”だとか"成功"に至る事は出来ないんじゃないか。自己責任で投資家にならないと、老後もおぼつかないのではないか。

会社の嫌な上司の事、会社員として毎日通勤電車に揺られて仕事にいかないといけない人生のある種の窮屈さ、起業だとか投資だとかへの漠然とした憧れ、中々増えない給与やボーナス、漠然とした将来や老後に対する不安。こう言った事も頭をよぎりながら、あなたはきっとそう言う風に、この手の書籍を読んで考える。


○決断を迫られる

そして、どこかの段階で、あなたは映画で言えばトリニティやモーフィアスと言った人物と出会う状況に相応するような場面に直面する。例えば、何がしかの起業家と出会うとか、ヘッジファンドの経営者と出会うとか、外資系金融機関のお偉がたと会うとか、不動産やビジネスに投資している投資家と会うとか、そう言う事だ。

モーフィアス(起業家、ヘッジファンド経営者、外資系金融機関のトップ、各種投資家その他)は続ける(注1)。

I imagine...that right now you're feeling a bit like Alice, tumbling down the rabbit hole? Hmm?
「今の君の気持ちは、うさぎの穴を転がり落ちるアリスって所だと思うが。ん?」

I can see it in your eyes. You have the look of a man who accepts what he sees because he is expecting to wake up.
「そう顔に書いてある。見た事を受け入れる男の表情だ。目覚める事を望んでいる。」

Let me tell you why you're here. You are here because you know something.
「なぜキミがここに居るのか教えよう。キミはある事を知っている、だからここにいる。」

What you know you can't explain, but you feel it. You've felt it your entire life, that there's something wrong in the world. You don't know what it is, but it's there, like a splinter in your mind, driving you mad. It is this feeling that has brought you to me.
「何を知っているのか説明出来ないが、感じはあるだろう。世の中の何かが間違っていると生まれてこのかたずっと感じてきた。それが何だか分からないが目の前に存在する。心の中のとげのようにキミを狂わせる。この気持ちがキミを私のもとへと運んだのだ。」

The Matrix is everywhere. It is all around us. Even now, in this very room. You can see it when you look out your window, or when you turn on your television. You can feel it when you go to work, when you go to church, when you pay your taxes. It is the world that has been pulled over your eyes to blind you from the truth.
「マトリックスはあらゆる所にある。我々を取り囲んでいる。今この部屋にもある。窓から外を見ても、テレビを付けても見る事ができる。仕事に行く時、教会に行く時、税金を払う時、感じる事が出来る。真実を覆うために目の前を覆っている世界だ。」

You are a slave, Neo. Like everyone else, you were born into bondage, born into a prison that you can not smell or taste, or touch. A prison for your mind.
「キミが奴隷だっていうことさ、ネオ。他の皆と同じようにキミは生まれながらとらわれの身だ。におう事も味わう事も触れる事も出来ない牢獄に生まれついた。精神の牢獄だ。」

Unfortunately, no one can be told what the Matrix is. You have to see it for yourself.
「残念ながらマトリックスが何なのか誰も教えてはくれない。自分で確かめるしかない。」

This is your last chance. After this, there is no turning back.
You take the blue pill...the story ends. You wake up in your bed and believe whatever you want to believe.
You take the red pill...you stay in Wonderland and I show you how deep the rabbit hole goes.
Remember. All I'm offering is the truth. Nothing more.
「これが最後のチャンスだ。これ以後は引き返す事は出来ない。
青いピルを飲むと、、、物語はおしまいだ。ベッドで目覚め、後は好きに考えればいい。
赤いピルを飲むと、、、キミは不思議の国に留まる。うさぎの穴がどれだけ深いか見せてあげよう。
忘れるな。私が見せるのは全て真実。それだけだ。」

あなたはどちらのピルを選ぶだろうか。

ロバートキヨサキ氏の言う通り起業する、日系の企業を出て外資系金融機関で仕事をする、あるいは大手の金融機関を出てヘッジファンドに移籍する、と言うのは、赤いピルを飲む事に等しい(注2)。あなたは真実を見る事になるだろう。しかしそれが良い事なのかどうかは、筆者にも判断し難い。各自の自己責任である。

次回に続く、、、(書くのに飽きなければだが)

(注1)英語や日本語訳の出所は以下。


(注2)まあ外資系金融位なら、青いピルを飲んだままの日常モードで、大過なく過ごせる人生もあるようにも思うが、外資系金融機関に居ても、ある程度ディープな職種(例えば証券化だとか、自己勘定投資だとか、不良債権投資系のビジネスとか)だと、「真実」に直面する場合もあるようにも思う。

2 件のコメント:

  1. 大学院生1/11/2010

    Anonymous investor様

    いつも楽しく拝見させていただいております!
    今回も興味深いテーマをありがとうございます。ヘッジファンドの業界は、ヘッジホッグや他の書籍を通じて多少は知っているつもりではありますが、「赤い薬」を飲むほど世界が変わってしまうような業界なのですね。

    修士論文の合間に今後も拝見させて頂きます。
    お体にはお気をつけてお仕事がんばってください。

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  2. コメントありがとうございます。
    読んで頂いているかたが居ると言う事を実感出来ると言うのは、これ大変に有り難いものです。

    Red pillと言うと少し大袈裟かも知れません。ヘッジファンドと言うと何だか神秘的、あるいは悪の権化みたいな書かれ方をされる向きも一部にはありますが、あくまで運用ビジネスの一形態、アセットクラスの一つであり、過半は一般のかたの将来の年金のために年金基金から運用を受託したり、大学の運営がきちんと出来るように大学の基金から運用を受託したりして成立している、案外普通の人がやっている普通の商売ですので。

    とは言え、マネーと言う概念を探究して行くにつれ、不思議の国のアリスのような感じで、世界が少し違った形で見えるようになるかも知れない、と言う面はあるかと思います。その辺を、マイペースで徒然に書く事が出来れば、と思います。

    修士論文、ぜひ頑張ってください。

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