2010年7月29日木曜日

メモ:毎日エコノミスト2010/7/27号より

掲題の通り。

○中国の日本買い。

まあ大型株の普通のポートフォリオでしょう、と言えばそこまで。とは言え、かなり内需ティルトなのと、王子製紙や東燃ゼネラル等は保有している土地狙いなのでは思わせる点、日東電工(水資源関連である)と言った中国の今後に必要そうな銘柄がさりげなくはいっている点が要チェック。


○人民元特集。

しっかりした特集。興味を持たれたかたはバックナンバー購読で購入をお勧めする(結構ヘビーに引用しているので、この位のリップサービスはしておきたい)。

ドル円と、ドル元はほぼ連動している、と言う事が確認出来る。だから元高は連想で円高なのである。
購買力平価。80−90年代は元の切り下げ議論が進んで居たが、2000年入って徐々に切り上がってますなと。
直近の変動範囲が0.5%に抑えられてますなと言う話と、過去の元相場&ボラティリティの歴史。

長期での元相場の歴史。改革開放路線、天安門事件等経て元がみるみる安くなって行って、その後増価している事が分かる。また、実質ドルペッグをしたり外したりをして居る事も伺われる。

上記は強い元をバックにした中国による日本買い。ラオックス辺りは上場企業であり、筆者も結構注目している。
中国のインフレ率と銀行の貸出は、そのデータの正確性はさておき、非常に重要なデータなのでチェックしておく事をお勧めする。中国の金融政策が中国の景気を動かしており、中国の景気が世界経済の帰趨を決めて居るのである。

米国2年金利とドル円のチャートは、「ずれる事もあるけど比較的金利差で為替が決まってますよ」と言うのを示すもの。

最後の34年ずらしのドル元とドル円のチャート比較は面白い。ただ、中国政府は、日本が急速な円高が国際競争力を削いだ面があると言う認識を持っていると言われて居るので、もう少し元が高くなるペースはゆっくりになるかも知れない。

上記は基礎知識。実際どうやって為替介入をしているかなど、株だけしていると案外疎かったりしたので勉強になった。そのまま掲載しておく。

上記は非常に重要なチャート。経常収支も資本収支も恒常的に黒字、と言うのは元来不自然で、貿易等で経常収支を黒字にしたら、そのマネーを外に投資して行く事で資本収支はマイナスになる、と言う方が絵としては自然である。とは言え一気に資本の行き来を自由化すると、一気に資本流出が起きてしまい、一気に元安に振れる、中国株が急落、と言った弊害もあるだろう(あるいは資本流入を一気に許可した場合はホットマネーが一気に流入して急激な元高や資産バブルの懸念もある)から、小出しにしていく、と言う話だろう。例えば元高圧力が強くなった際に小出しで中国本土マネーの(日本向けも含めた)海外投資許可を漸進的に進めて行く事で、ちょこちょこと中国本土投資家に海外分散投資による資本流出を促して元高圧力を緩和しながらコントロールする事が出来る。中国の「資本主義の取り扱い方」は、本当に上手いと思う。

そんな訳で、元の国際化もコントロールしながらじわじわと進む。

上記は金融機関の時価総額ランキングと、最近公開された中国農業銀行の投資家。カタールとかクウェートとか、よく引き受けるなあと思う。中国農業銀行の貸出ポートフォリオの質は余り良くないと言うのは一般に知られている。あるいは中国農業銀行の中国国内における金融商品の販売網を何らかの形で活用したい等の狙いもあるのかも知れないが、中東勢は動かすマネーの金額が巨大な割に、時折リサーチが甘い事があるんじゃないかと思う事もある。これは日本株や米国株への投資スタンスを見ていても思う事がある。

お次は香港。基本的には米ドルペッグで金融政策もほぼ完全に米国に合わせられている。ところが、昨今これが問題になっている面もあるので徐々に時間はかかるが中国重視になっていくんじゃないか、と言う話。例えば、香港は好景気で中国本土からも大量に不動産投機マネー等が流入している一方で、米国が不景気で金融緩和傾向だったりすると、香港は景気引き締めが必要な局面にも関わらず米国に合わせて金融緩和をする事になる。これが香港の不動産価格をもの凄いバブリーにしたり、一方でバブルが弾けるとしんどい事になったりする理由である。こう言う「歪み」が発生し易い場所は、Speculationをするには面白い場所ではある。

その関連で中国と米国の実質金利を比較したものだが、中々に興味深い。上記の筆者は、国債金融のトリレンマの議論から、為替の安定、自由な国際資本移動、金融政策の独自性、の全てを実現する事が出来ない旨をまず説明。その後、以下のように議論を展開する。

・為替の安定は為替管理でやってますね。
・自由な国際資本移動については、一般的にはここを中国は規制を入れる事で妥協しているように見えますね。しかし実際には輸出入業者が相場見通しに沿って外貨建債権債務の受け取り支払のタイミングをずらしたりする「リーズアンドラグズ」等を通じて結構ホットマネーが流入流出して、比較的「自由な国際資本移動」が結果として実現してしまっていますね。
・そうなると、実現出来ないのは「金融政策の独自性」ですね。

・・・と言った案配。それを示すのが上記の米国と中国の実質金利の連動である。で、米国がまだ景気の回復が鈍いから金融緩和していて、中国も為替維持のためにある程度これに追随しないと行けないとなるとどうしてもバブルやインフレ懸念が出て来ますな、と言う議論をしている。神戸大学の准教授が執筆しているが、センスの良い議論である。

上記を踏まえて筆者が思うのは、実際に中国がやっているのは、「国際金融のトリレンマ」の制約の中で、絶妙な感覚で3者のバランスをマネージする、と言った事のように思う。為替の変動を時にある程度許容したり時に厳格にしたりする、資本移動を小刻みに許容したり締めたりしていく、金融政策の独自性もある程度は為替維持のために米国の金融政策を意識しないといけないが貸出指導あるいは抑制、銀行の準備金の必要額を上げたり下げたり、と言った細かい調整を使いながらある程度の独自性を確保する、と言った具合。これの調整の仕方が、見ているともの凄く絶妙なのである。だから中国は「社会主義国家でありながら、もの凄い上手い資本主義の使い手」なのである(民主主義の日本の方が「社会主義的で資本主義の制度の使い方がヘタ」にも見える)。

全体に、読み応えのある中国特集だった。


○WikiLeaks

面白い。日本でも、高速増殖炉もんじゅのLeakが投稿されていたりする。

○日本の財政健全化について考える。

ここでの議論も面白い。以前紹介した、政府消費支出の集合消費と個別消費のバランスの同様の議論が、別のデータで為されている。上記は先進国の「実質公的負担率」(税金負担から、教育や医療保険等目に見える形で個人に便益が戻っている分を引いた、実質での税金負担)の比較である。日本は教育サービス等がプアなせいで、見た目の消費税等が他国より安いにも関わらず、実質公的負担率が高いのである。だから日本人の税負担感は既に高く、増税と言っても中々許容されづらい雰囲気がある、と言う事である。

上記がスウェーデンと日本の公的サービスの比較。確かに日本の方が全然poorである。日本の公的サービスは、確かに金額面のサポートもプアだが、サービス業と言う感覚が全然なくてサービスの品質が低いとか、教育も学習塾や予備校に通わないと大学に入れないと言った具合にクオリティが整って居ない、と言った面にも問題があるように思う。増税に対するコンセンサスを確保して行くには、この辺にてこ入れが必要になろうかと思われる。


○財政状況の国際比較

データが落ちてたのでFYI。


○LCC(ローコストキャリア)の台頭。

エアアジアの羽田参入、羽田〜クアラルンプールが片道14000円で週3便の乗り入れ確保との事。消費者としては非常に有り難い。JALやANAからしたら大きな脅威だろう。コスト構造も全然違う。

別の雑誌では、中国の格安航空会社が茨城空港に乗り入れて、茨城〜上海を4000円で繋ぐと言う話もある。これだったら筆者は茨城から上海に旅行に行くと思う。

ANAをショートする前提でリサーチしたくなる話である。

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