2010年7月28日水曜日

メモ:毎日エコノミスト2010/8/3号より

東洋経済と並んで筆者が日本の経済雑誌で好んでいるのは毎日エコノミストである。ページ数は薄いが、記事の内容が濃いように思う。

○太陽電池特集。


太陽電池の組み立てに関しては完全にコモディティ化が進んでいるように思う。もはや生産の1/3が中国である。

生産ランキング。Qセルズが落ちてファストソーラーが伸びているが、理由は後で解説がある。日本勢はシャープが何とか3位だが、地位は高くない。
原料等の分野別の国別シェア。どの分野も日本のポジショニングはマイナーな位置にある。
上記は非常に重要。重要な市場が欧州であり、欧州の政府債務の増加と財政健全化が問題になっている以上、当面太陽電池関連に多くは期待出来ない、と言う考え方は成り立つ。政府の補助で成り立っている業界はこの点脆弱である。

ここでも韓国。

上記は上位企業の比較。ファストソーラーの成長と収益性の高さが目立つ。理由としては、生産拠点がマレーシアにあるなどコスト削減が徹底されている事、大量生産で規模の経済が働いている事、シリコンを原料としたものより発電変換効率は多少劣るが製造コストの安いカドミウムとテルルの化合物(CdTe)を利用した薄膜系太陽電池を製造している事、等が強みの理由のようである。一方で、ドイツのQセルズは欧州政府の太陽電池補助政策が縮小された事、中国や台湾プレーヤーによる価格破壊に付いて行けなかった事、原料のシリコンを価格の高い時に長期契約したせいで原料コストが高くなった事、等が問題だったようだ。

シャープはやっと収益化し始めたくらいである。正直中途半端な感は否めない。太陽電池パネルはコモディティビジネスであり、量を稼いで規模の経済を効かせて、安価に売れるかどうかが勝負になると思うので、攻めるなら海外生産等でコストを下げながらもっと攻めないといけないし、引くなら潔く引かないといけないように思う。

上記が各国の太陽電池関連の政策ラインナップ一覧と日本メーカーの対応。思うに、日本メーカーは巻き返し出来ないように思う。なぜか?以下の図表が一目瞭然である。
この図は良く出来ていると思う。最初は差別化戦略で日本勢が優位に立てるが、大量普及期になると、コスト競争力が無い、元々安かろう悪かろうだった海外メーカーもキャッチアップしてくる等で日本勢のシェアがみるみる落ちている事が分かる。筆者は日本の太陽電池関連株に多くは期待していない(アルバックやイーピーエス等の製造装置は別として、特にパネルモジュール組み立ての所は)。日本はもはや大量生産に向いた場所ではないのである。それこそ、前の東洋経済の韓国特集で韓国の教授に指摘されていたように、製造業依存からソフトやサービス等の高付加価値の無形ビジネスにシフトする必要があるように思う。

○政府債務の定義。

大和総研のエコノミストの寄稿。政府債務と一口で言っても定義が結構複雑なんだそうだ。大変に勉強になる。
上記は結果として、発行主体によって日本の対GDP政府債務比率に違いが出ている事を示すもの。

○欧州経済データ。
経済規模的に、スペインやイタリアの財政状態が悪くなると長期的にはインパクトが大きい。

○鉄鉱石相場の話。
見ての通り。ジムクレーマーや筆者が鉄鋼株が原料安で良いんじゃないかと言うのは、こう言うのを見ながら言っている事になる。

○ソフトバンク。

以下は企業紹介でソフトバンク。知人が孫正義氏の事の大ファンなので目に留まった。掲載しておく。
CDSは改善し、社債のスプレッドもタイトニングしている。
理由として、利益やキャッシュフローが出て来ている事が挙げられる。

○マクロエコノミストの難しさ。
エコノミストが上のデータを見せながら、米国の消費が鈍って来ている事、中国の鉱工業生産が減速傾向にある事を示して、米中への輸出に頼っている日本は微妙な立場で、内需でどれだけ支えられるかと言う局面に入っている、と言う論調。

それはそれでその通りであるし参考にはなるのだが、一方でやっぱりエコノミストによる上記のようなマクロデータをもとになされる議論は「やや遅れがち、過去の確認的説明になりがち」な面も否めない事は付記しておく。

日本の内需については、先に紹介した通り、百貨店やスターバックスコーヒージャパンの月次が回復して来ているように、それなりに節約疲れとした支え感はある。中国はここから更に景気引き締めをするシチュエーションではない。一方で米国は上記エコノミスト寄稿の通りの面もあるからCautiousで、ラグジュアリビーグルのヤマ発や、北米の大型高級車で儲けるビジネスモデルから脱却し切れて居ないトヨタ等は当面買いづらい。為替もバーナンキ氏がやたら弱気で追加金融緩和のカードも持っている事を考えればドル安になり易く、この面でも北米ラグジュアリ品プレーヤーは当面手を出しづらい印象がある。

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