2010年11月4日木曜日

シンガポール現地レポート:経済面中心に雑感。

(バブルの塔?それとも実力相応の近未来系カジノ?)

さてと。ようやっとシンガポール現地でのPC使用環境も整い、目標であった物件サーチは1日で済んでしまったので、少しシンガポール現地の雰囲気をお伝えしたい。まずは、不動産の賃貸物件を探したり、街を歩いたり、既にシンガポールに住んでいる友人から聞いた話をもとにした、経済面の雑感から。


○ハッキリ言って、これはバブリー。

第一印象は「これがバブリーってやつか!」である。

・レストランやビアパブ等では、昼間の夜の早い時間から、お客で溢れ返っている。
・あちこちでオフィスビルやコンドミニアムが建設中。クレーンが沢山。
・最初の写真のカジノのような、「建物としての経済性、効率性、耐久性等を考えると明らかに非効率な、ビジュアルやランドマーク性重視のバブリータワー」が建設されている。普通やっぱり、箱形のビルが、建築するにも運営するにも経済的なのですな。
・外資系金融オフィス街で働く人達の表情が心なしか明るい(日本とはこれが全然違うよなー)。
・普通の人間でも、若造でも都心ど真ん中のプール付きラグジュアリ物件に住んでいる。友人に、彼女がシェアして住んでいるマンションを案内して貰った。シンガポールの夜景を一望、広大なプール、ジム、テニスコート等等。パークハイアットだグランドハイアットだもびっくりのセレブ仕様の高層マンション。6000シンガポールドル(40万円位)の家賃の物件らしい。友人のようにシェアして住んでいる人も居るようだが、エクスパットでシンガポールに赴任していると思しき若者が1人で住んだりもしているそうだ。確かに、内部のプールやテニスコート等見ると、利用者が若い。
・不動産の仲介業者のコメント。こんな感じだ。

–「賃貸物件は、普通に住めるクオリティの物件なら出したら1−2日で埋まる。完全に貸し手の市場だ。」(これは実際に筆者が賃貸物件周りをして実感した。昼頃に見た、正直大した物件だとは思えなかった物件が2時間後位に既に他の人からオファーが入った旨が不動産やさんの携帯に電話されて居たし、比較的良いなと思った物件の一つも、割引を試みてもその率は低いものであった上、夜に駐在員が来てDoneしていた。そんな訳で、1日目最後の”素晴らしいと思った物件”の家賃を2割弱引いてくれた上、家具なしだったのを先方負担でFull furnishedにしてくれる、と言う条件が来た時点でDoneした次第である。11/5がシンガポールの祝日だったので、そこまで待っていたら確実に埋まってしまっただろう。感性に訴える物件が比較的良い条件で来たら、一発でキメてしまう必要を感じた。)

–「売買物件については、利回りは今や3−4%位しかない。昔からの投資家はシンガポールへの投資から、マレーシアのシンガポール近辺の都市等への投資を検討する段階に入っている。今からシンガポールの物件を買うのは、キャピタルゲインを狙う人。インドネシア人の成金とかが多い。」

–「政府が不動産投機の抑制策に入っている。例えば、HDB(政府の公団住宅みたいなもん)は買ったら3年だか5年だか間を置かないと転貸出来ないようにするとか(HDBを購入して、直ぐ転貸して、購入したHDBを担保にして次の物件購入の借入を引き出して次を購入へ、、、と言うのを防ぐためだろう)。」

–「リーマンショックの際に地価が急落したが、この時点で待ってましたとばかりに沢山買いの問い合わせが来た。今やリーマンショックの前よりも地価、物件価格とも高い状態になっている。値段が高過ぎて最近売買の流動性が落ちて来て居るので、仲介業者的には困っている面もある。もう少し手頃になってくれた方が、ボリューム×単価のバランス的に、ボリュームが出てくれて助かるのだが。」

–日本人で日本人の駐在員等をメイン顧客にしている不動産仲介業者の案内車は大衆車だった(まあ、昨今の日本人の勢いはこんなもんなのだろう)一方、中国系シンガポーリアンの不動産仲介業者の車が、BMWだった。確かに筆者のニーズの痒い所に手が届いておりサービスも行き届いて居たが、シンガポールでは車が非常に高い事、シンガポールの不動産業者は会社ののれんを借りてほぼフルコミッションで個人商店的に動いているらしい事を考えれば、それにしてもこのシンガポーリアンの不動産業者は相当稼いで居るのだろう。


・・・これらはバブルの典型的な状況、かつ結構バブル後半戦の兆候である。世界中の先進諸国の中央銀行がガンガンに金融緩和したお金は、先進諸国の経済を活性化させる所に流れているのではなく、じゃぶじゃぶ資金として新興国に流れている事を実感した。シンガポール自体は先進国だが、アジアの新興国投資(証券投資にせよ直接投資にせよ)のハブがシンガポールなので、そこにマネーが集約していると言う事である。でもって、上記の「マレーシアの不動産にも触手が伸びる」のパターンに典型的に見られるように、より高い利回り、割安な資産を求めて周辺諸国にマネーが流れているのである。シンガポールの状況を見ていると、タイとかインドネシアの株価、経済が好調なのも非常に実感が湧く。

シンガポールの上場企業の株価までは最近見ていない(これからはちゃんと見ないといけませんな)。とはいえ、筆者的には、シンガポール自体の株や不動産にこれから投資しようとは余り思えなかった。既に、「もっと周辺国」「もっとハイリスクハイリターンの投資先」にお金が流れるような段階である。

インドネシアの成金が最近の高級コンドミニアムの買い手になっていると言うのは、日本人がバブル末期にロックフェラーセンターを買いに行ったり、サブプライムバブル崩壊の直前にニューヨークの高級物件をアイルランド系の人達が買ってたのと同じである。田舎者の成金が札束にもの言わせて高級物件を買い漁って「どうだ凄いだろう」とばかりに欲求を充足させるような段階になったら、結構後半戦である(こう言う投資家は、損する可能性が高いが、しかし彼らも欲しいものを手にしている。お金を払ってリターンを得るのではなく、見栄とか奢侈心を満足させていると思われる。人間、マーケットでキチンと欲しいものを得ているのである。であるが故に、どう言う心境で相場に参加するかは重要である)。また、最初の写真のカジノビルは、ドバイバブル崩壊直前に建設された1kmビルを彷彿とさせる。かなり注意が必要だ。


○シンガポールバブルは崩壊するか?・・・案外長続きするかも知れない。

しかし、シンガポールの場合、上記のバブリーな状況に、ファンダメンタルがある程度付いて来て居る事が、日本のバブルやサブプライムバブル崩壊直前のアイルランドの成金(アイルランドは、ユーロ統一で、経済の実力よりもずっと低い、ECBの中心であるドイツ同然の低リスクプレミアムの恩恵を受けていたため、成金が多数出て、その後ガタガタになった国である)と、シンガポールの違いである。

つまり、政府の巧みな政策により、世界中から「お金を沢山落としてくれる産業」(金融もその一つだ)を誘致する事に成功しており、実際にヒトモノカネが集まっているのである。不動産バブルによる信用膨張と言う危うい一本足打法ではなく、実際に経済活動が活発なのである。

筆者の労働ビザの許可もあっと言う間に降りた。採用先の会社に発給事務をやって貰ったが、パソコンからの手続きだけで全部完結するようになっている。申請からApproval(実質的な仮労働パスのようなもの)まで1週間もかかっていない。日本の官庁でこれが可能かと言うと、まず無理だろう。

不動産業者によると、今般相続税も緩和されたそうで、世界中から金持ちを移住させる算段のようである。金持ちがシンガポールに住めば、ラグジュアリに消費してくれるしコンドミニアムも買ってくれる。そうなれば益々消費も投資も盛んになるので、減税した分を充分オフセットするだろう、と言う算段だろう。

何と言うか、滞在して2日しか経っていないが、政府が一流企業ばりに戦略的でやる事が巧みで機動性がある事、結果として経済が大いに繁栄している事が実感された。

ちなみに、シンガポール政府のやる事の巧みさは、上記のような税制や移民に対する考え方からも伺えるし、日常生活の中の些細な事にも感じられる。

例えば交通。ご存知のかたも多いかも知れないが、シンガポールでは渋滞が殆ど無い。これを実現するために、政府がかなり大胆に価格をコントロールして自動車トラフィックの需給調整を行っている。

まず、政府が自動車の保有を制限するために重い税金をかけているため、日本で言えば大衆車並みの車でも、保有しようと思うとベンツ並みに高い。

また、交通はERPと言う料金徴収マシンでコントロールされており、渋滞して来ると料金が高くなったりするようになっている。

一方で、地下鉄はすこぶる安価で、日本円で言えば数十円とか100円とかの料金でシンガポールの市街地主要区間の移動が出来る。バスも非常に安価だ。

タクシーも日本よりはかなり安価である。これも「車を持って一人で運転しないで、タクシーを皆でフル稼働で使いましょう、そのほうが道が混まないし」と言うシンガポール政府からの意思表示と考える事が出来る。だが、最近「ラッシュアワーチャージ」「上記のERP通過チャージ」等が追加されており、以前よりは渋滞時にタクシーを使う事に対するペナルティが重めになっているようである。タクシーから更に一歩踏み込んで、渋滞緩和のためにバスや電車を皆使ってくれと言う政府からの意思表示を、価格付けを通じて明確に感じる。

また、町並みが計算されている事も、少し街を歩けば実感出来る。都会でありながらあちこちに公園、木立のあるちょっとした広場、街路樹等が沢山ある。道路も広く取られていて余裕がある。都会でありながら全体的に、比較的快適な環境が実現されている。国の都市計画そのものが、「不動産価値のバリューアップを意識したもの」になっているように思われた。

そんな訳で、日本の政治のもっさい感覚とはまるで違っていて、一流企業のマーケティング的なセンス、「価格」「税金」と言うマネーの概念、機能をフル活用し、その上都市計画等も含めてトータルに「シンガポールと言う国のバリューアップをする」と言う目標を達成しに行っている事を明瞭に感じる事が出来た。結果として、企業も赴任する従業員も、低い税率、理解のある規制環境、快適で良好な都市環境を謳歌出来る状況が「戦略として、意識して」造り上げられている事も明瞭に感じた。日本の政府も、シンガポールをモデルにして、もっと大胆な政策を取った方が確実に良いと思う。

そんな訳で、多分にバブリーな面も抱えつつも、こう言った「政府の巧みさ」「それによる経済の繁栄」と言った、「ファンダメンタルとして優れている面」もあるので、筆者の感覚的な結論としては、タイトルの通り、「シンガポールバブルは崩壊するか?・・・案外長続きするかも知れない。」と言った結論になる。

・・・しっかしアレだな、条件反射でこう言う事を旅行で感じてレポートしてはウキウキしてしまう辺り、やっぱり金融マンなんだな俺、等と思う筆者であった。仕事前のウォームアップになってくれるかな。

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