2010年12月10日金曜日

新興国展開可能な内需企業とそうでない企業:「Japanブランド」を宿す事が出来るかどうかがポイント。

今日はお題の件について。

シンガポールに、家電量販店のベスト電器(8175)がある。
しかし、ベスト電器の開示を見る限り、シンガポールは儲かっていないようだ。

一方で、ユニチャームはアジア展開に成功している。また、最近こっちのスーパー見ていて目立つのは花王とライオン、マンダム辺りだ。ユニチャームの成功に刺激されて、頑張っているのだろう。

この差の理由はどこにあるのだろうかとふと考えて、答えが題名の通りである。


○「Japanブランド」を宿す事が出来るかどうか。

ベスト電器のような家電量販店の場合、ブランドは小売段階の量販店自体には宿らない。基本的には、「SamsungのLED TVが欲しい」「SharpだSonyだPanasonicだLGだが欲しい」と言った具合に、そこで売られている製品にブランドが帰属している。

言ってみれば、家電を買う場所については、安ければどこでも良いのである。今時情報はネットで沢山取れる。製品説明だって、別に日本の家電量販店でなくても、日本のアキバであるFutong Shopping Mallのその辺のお店に行けば丁寧にしてくれる。値段も安い。品揃えで差別化する事も難しい。こう言う業態だと、新興国展開と言うのは中々難しいと筆者は思う。


一方で、先日、シンガポールの大戸屋(2705)に取材した、失礼仕事じゃないので、晩ご飯を食べに行った。

メニューや味はまあ、日本のいわゆる大戸屋とおなじである。広島カキのカキフライ定食とか、チキンかあさん煮定食とか。普通に日常の定食として悪くないよね、外食にしては煮物とか野菜も摂れて栄養バランス取れるよねと言う、自炊代替のあの大戸屋の味である。このクオリティコントロールをシンガポールでキープ出来ているのは偉いと言えるが、日本人からすればまあ言ってみれば普通の味である。ビールがサッポロだかキリンだかで、日本酒なんかも置いてある。内装は普通のテーブル席に加えて、畳の半掘りごたつ的な感じになっている席がある。店員はシンガポーリアンだが、挨拶は日本語で「いらっしゃいませー」「ありがとうございましたー」と言うように教育されている。料理が出て来るのはぶっちゃけそんなに早くない(これは日本の大戸屋でも混んでいる時間帯に散見される事態である)。メニューは日本語と英語だけで、シンガポールで過半の人々が使っている中国語の記載はない。つまり現地対応は最低限であり、どちらかと言うとちっとも現地対応などしていない。これでもかと言う位、「うちは日本の定食屋です、文句あっか」と言う路線である。

価格帯も高い。普通のカキフライ定食だのカツ丼だので15−20S$内外(1000円〜1500円位の感覚)、酢の物(普通の酢の物なんだが懐かしかった!&むちゃくちゃ旨く感じた。日本人&日本食万歳!)とかデザート等のサイドメニューや飲み物頼むと30S$以上(2000円位〜)の客単価である。恐らく日本の大戸屋より客単価が高い。これはシンガポールの外食は値段が極めて安く、ホーカーズ(屋台街)とかだと3S$(200円!)とかで一食食べられてしまう事を考えれば、更に「結構高い」プライシングである。価格については、定食屋と言うより、「レストラン」の価格帯である。

しかしである。現地のシンガポーリアンも含めてお客さんが大入り、満員だった。客層は、シンガポーリアンの比較的若めの社会人らしき数人グループ、カップル、たまに日本人(日本語喋ってる)もちらほら、と言った所。お蕎麦なんかを頼んでいるシンガポーリアンもいた。日本の大戸屋と違って、学生やサラリーマンの一人来店と言うのは余り見られなかった。カップルで大戸屋、と言うのは筆者からすると結構意外感があった。

どうやら、現地のシンガポーリアンからすると、「毎日食べるもんじゃないけど、仲間やカップルで、ちょっとお金払って、日本のビール飲んで、雰囲気と食事を楽しむ」みたいな、言ってみればアレだ、日本で言えばタイ料理とかみたいな位置づけを確立しているようである。大戸屋海外展開、結構行けるんじゃないんすか、と言う感じがした。なるほどなーと。筆者的にも、実は韓国人とかが経営している、べしゃーっとしたカツ丼とかちっとも旨くない「なんちゃって日本料理」を海外の人に日本料理と勘違いされるのはこれ大いに心外なのだが、大戸屋を「日本の大衆料理だ」と解釈されるのはそんなに悪い気はしない。

つまり、大戸屋の場合、ベスト電器と(外食と量販店と言う違いはあるが)同じ小売カテゴリーに居ながら、完全に「ジャパニーズブランドとして差別化」が出来ているのである。妙に価格帯やメニューで現地化しようと媚びていないのがむしろ奏功している事例とも言える。

そんな訳で、日本の従来内需と言われていた企業の海外展開の話はここ数年、大きなテーマになっているが、これの成否判断の基準の一つとして、「その会社の製品やサービスにブランドが宿り得るか」と言うのは挙げられるなと思った、週末の筆者であった。2705大戸屋に投資する際は、シンガポール店舗の善し悪しよりも国内既存店の善し悪しの方がずっと大事だと思う上、マイクロキャップの部類で流動性も無いので、投資意思決定はもちろん、自己責任にてお願いします。

では、良い週末を。

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