2011年2月4日金曜日

売れなくなった後の話、人材登用におけるSpeculation・ガンマロングの重要性、金融業界の課題と今後5−10年の展望などについて


今日は↑こちらで。「売れなくなった後」これが案外カッコいいし、ここをグレないで真剣に続けられるかどうかが、勝負の分かれ目である。

例えば安室奈美恵等は、小室ファミリーから離れて一時的に売れなくなった上、人生においても色々困難もあったようだが、水面下で試行錯誤の活動を続けていた。それがアーティストや人としての幅や深みを深化させる事になり、後に再浮上するきっかけになった。

小室哲哉も、上のような「公平に見てトランスの曲としてかなりカッコいいんだけどセールスにはならない試行錯誤」をしたり、人生転落したり色々あったが、それがただの無駄になるか、アーティストとしての幅と深みに繋がるかは今後次第である。個人的には、人生に無駄な事はないから、ちゃんと反省すべきは反省して、人として無責任な面、お金や女性に対してだらしないとか依存傾向があるように見受けられた点、浮ついた面があった点、精神的に弱い面や心に闇や隙間があった点等ときちんと取り組む事で物事や自分自身とまっすぐに取り組んで、復活して欲しいと思う(注1)。心の闇や隙間を抱えつつ、それらの隙間や闇を動機付けにして、心の隙間や闇から逃げるように、あるいはそれらを叩き付けるようにして「切ない系の作品」にぶつけて作品を創る事で商売続ける、と言うありようではSustainableではない事を理解した上で、単に切ない以上の作品を創る段階にシフトするタイミングなんだろうし、それが出来るか出来ないかが彼の今後を左右すると思う(何言ってるか意味が分からないって?いやいや、多分音楽や格闘技、運用商売をやっている人、それ以外でも何かに真剣に打ち込んだ事のある人であれば概ね通じるはずだ。そう言う前提で書いている)。


さて金融業界(筆者の雑談は、大体金融の話の前フリである)。金融の同業者でも、日本の金融市場ニーズの減退等から、少なからずがメジャー(例えば大手ヘッジファンドとか大手投資銀行のプロップ等)からインディーズに潜る事になっている。

まあ技術が伴ってなかったな、過去のITバブルなり中小型バブルなりサブプライムバブルなりの時期にそこに居ただけだなと言った人も勿論少なからず居る。こう言う人はまあ、相場付きがちょっと変わったら機能しなくなるのは仕方ないように思う。また、有り体に言えば、人柄や人間としての部分がどう考えてもいけすかなくて、「あんたには年収300万円でも多過ぎだから」みたいな人も残念ながら居たりもする。まあこう言う人達については、価格がファンダメンタルに回帰しただけなのでそれはそれでどうでも良い話だ。

しかしこれがどっこい、一方で中々これが良いプレイをする、メジャー時代よりも良いんじゃないのと言う日本人ファンドマネジャーも居たりする。

メジャーに居た頃はちょっと有り体に言えば「頭いいのとか優秀なのとかは分かるんだけどあなたちょっとアロガントなんじゃないんですか、人間としてどうなんですか」と言う感じだった人もいる。

しかし例えばこう言った人物が独立して上手く行かなかったりだとか試行錯誤していくうちに、見た目の年俸は全然低くなってしまっているにしても、進化・深化して行くのだ。

つまり謙虚さを学んだり、優秀である以前に人間として信頼出来る仲間・従業員を確保する事の難しさ・重要性や有り難さ(こう言う人材を集めるのが、一番基本的かつ重要なコンプライアンスなのだ、特に規模が小さいと細かい制度まで整える事は出来ないので)を学んで行ったり、中々カネにならない中でカネと言う以外の要素でなぜこの商売を続けて行くのかを問われたりするのだ。

この過程で、貧すれば鈍するでグレちゃったりおかしくなってしまう人も勿論少なからず居るが、中にはこの過程が中々もって良い形で作用して、運用者の人格と深み、運用スキルや技術を増す事になったりするのである。

筆者の今後5−10年位の目標は、こう言う「技術があり、かつ技術にモラル・人柄・品性品格の類いがちゃんと伴って来ている」人達が活躍出来る、「Japan as 資本主義Master」としての次の「華の時代」を創る事に、少しでも貢献する事なのかな、等と最近思うようになった。

ジム・ロジャーズは「もう金融マンの時代は終わった、農業だ」と言うし、それは分かるのだが、筆者は敢えて、「日本人×金融」と言う、「取り敢えず最も終わってるね」と言うのがコンセンサスの組み合わせに、シンガポールにて、人生を可能な限りハイパーベットしたい。

つまりはこう言う事だ。

・単に日株の輸出ではなく、グローバルマクロとかマルチストラテジーとかパンアジアの運用を日本人がやる。欧米の年金基金等からもそう言ったお金を受託する。「日本人は金融も結構行けるんですよ、資本主義の仕組みを理解して活用する能力があるんですよ」と言う実力とブランドを確立する。

・日本の金融業界のビジネス規模、売上利益がこう言った事でちゃんとキープされる。

・それにより、例えば先のエントリーで書いた「何某」のような「可能性だけ」の新卒や第二新卒位の新卒を雇えて、楽しさと遊びとゆとりのある教育(注2)を施したり、相場と接させる事を通じて人格の育成等も含めて人材層の厚みを出せるように、日本の金融業界がなる。

・そして日本がスイス、シンガポール等と並ぶ資産運用大国になる。経済規模は中国やインドより下だが先進国としての知恵と品位品格がある(これが大事だ)事をもって国際社会でちゃんと一目置いて貰えるような国になる。金融に実力と知性と、あとは品性と言うか、品位品格のない国は本当の意味で先進国とは言えない。

こう言う事に多少でも貢献出来たらな、等と思うのであった。

また、過半は細かい雑用や作業の蓄積である日々の調査やトレードも、こう言う気持ちを乗せてやりたいものだな等と思う昨今であった。


注1:

筆者からのささやかな提言としては、まずミーティング等をすっぽかしたり何時間も遅刻したり、プロデュースする女性を手当り次第に食い散らかしたり、品のないカネの使い方をしない事だ。

筆者も気持ち的に分からなくもないし筆者自身の過去を考えると大きな事を言える立場ではないが、アーティストだから多少無茶苦茶でもいいのだと言うのはそれは甘えだ。もう業界のシニアなんだから、甘えていてはいけないし、まっすぐしっかりビジネスとして仕事に取り組むものだし、稼いだらカネや女に無茶苦茶でいいと言うものでもないし、魚はダメとか食べ物が好き嫌いだらけで良いと言うものでもない。

筆者的には、この辺が彼がちゃんと過去を反省しているのかどうかのバロメーターになると思う。再び売れだしたら再びこの辺が適当になって来たりしてるみたいな話を聞く事になったら、Avexの経営陣もファンもさすがに見限ると思う(見限るべきだと思う)。


注2:
ゆとり教育と言う事ではない。厳しい教育だが、例えばチンピラを格闘技を通じて格闘家・人間としてちゃんとした人間に育てて行く、みたいな感覚だ。

筆者の問題意識は以下のようなものだ。

今の外資系金融の東京法人やヘッジファンドでは、収益面等で余裕がないからまず新卒や第二新卒レベルを雇うキャパが以前ほどないし、新卒にゴージャスで手厚い教育をする余裕がないし、その上人材登用において、前のエントリーで書いたような「Speculative Buy」をする余裕がなくなって来ておりアンパイの秀才ばかり集まる業界に昨今なってしまっているような気がするのだ。

これが業界の煮詰まり感と先細り感を増大させているように思う訳である。これでは人材の層が厚くならないし、業界が先細りになってしまう。

人材登用において、多少のコストを払ってディープアウトオブザマネーのオプションを買ってガンマロングを取るようなゆとりが業界として必要だ。アンパイばかりで構成されているポートフォリオでは、「強烈なリターン」「一足飛びの進化」は生まれないのだ。大体面白くない。「ダメ人間が格闘技や相場を通じて成長し、真っ直ぐな大人に育って行く」と言うその過程そのものが一番のドラマであり、商品にもなるのだ。今の日本の金融業界には、これがない。ドラえもんは、のび太が大長編の映画でカッコいいから泣ける。出来杉ではドラマにならないのだ。そして今の金融業界には、バカでぐうたらでスケベでダメダメだが人間的魅力があり意外な所でヒーローの素養がある「のび太」が不足している。出来杉ばかりでは業界が盛り上がらないのだ。

例えば織田信長は農家上がりの豊臣秀吉なんかを登用する「遊び」「Speculative Buy」「人材登用におけるガンマロング」をしたから、ある段階から急速に台頭した。ものごとには「有意義なムダ」「意味のある余分」と言った、ある意味「遊び」の部分が必要なのだ。ちなみに前回書いた「何某」は、確実にこの点を意識されて採用され、「お師匠」は「ポートフォリオにはSpeculativeなのも入ってないと、豊かなものにならないんだよ」と言った趣旨の事を仰っていた。

でもって、「遊び」を可能にするには、ちゃんと業界が一定規模ある必要がある訳である。
それを可能にするには、もう「日本株ファンド」を外に売るとか、日本と言う商材を英訳して右から左へ輸出するだけではダメなのではないか。ちゃんと「金融の知識とスキル」、もっと言えば「資本主義、金融についての知恵」を売りにして商売をやって行かないといけない段階なのではないか。

だから、「Japane as 資本主義Master」に、少しでも貢献出来ればな、なのである。

元々「日本人では展開が速くて、強い個人による狩猟民族的スポーツであるサッカーはダメ」だと言われていたが、今般のレベルまで来ているのだ。金融でだって、それは不可能ではないと思う。

よくよく見れば、日本の金融にだって、前向きな素地はある。日本人の金融能力は、平均値は中々上がらないだろうが、プロフェッショナルの一部のユニバースだけ取り出せばユダヤ人の次位(彼らと対抗しようとは思わない)にはなってもいい。

日本人の運用者やリサーチのレベルは決して低くないし、「狩猟民族」としてのレベルも高い人間は高い。

資源がないとか、中国人が台頭して来る中で上手くやってかないといけないとか、工学・数学で一定のレベルがあるとか、日本語ベースで「国債の歴史」等の大著が学べる環境があるとか、日本人的勤勉・改善スキルがあり常時日本刀を研ぎ続けるような地道な作業が出来る一方で今後内需だけで回す事は無理だろうなと言う理解が広がっている(=外に出て狩猟民族スキルを磨く必要性、研いだ刀の切れ味を活用する必要性が出て来て居る)とか、よく見ると素地はあるように思うのである。

もちろん、全体としては、内向き志向、中国人対比で頑張りがない、教育レベルも落ちているとか色々あるんだろう。

しかし、筆者は比較的楽観的である。金融の世界は平均値やコンセンサスの世界ではないし、業界や世の中を変えるのに必要な人数はそんなに沢山は要らないからである。

一定数がスーパーサイヤ人として覚醒したり、Matrixのネオみたいな感じになったり、召喚士や黒魔導士としてバハムートやメテオやフレアを連発出来るようになればそれでいい。そう言う人間が幾らか出て来る素地が出来ればいいのである。

何か微力でも、日々の仕事やブログやツイッターやを通じて、こう言う事に貢献出来ればいいなと思う。

こういった所が筆者の問題意識である。筆者も、全ては相場から、株の調査や運用と関わる事から学んでおり、ただのひねくれた若者から、以前書いたお師匠等が引き上げてくれたお陰で、真っ直ぐな人間に成長させて貰った。これの恩返しを、ほんの少しでもいいからしたいものだと最近思うようになった。年なのかな(^^;)。

2 件のコメント:

  1. ディープアウトオブザマネーのオプション
    で人を探してるファンドはどうやったら見つけられるんでしょうかね?
    お金はいらないけど、一度ファンドの内側から相場を見てみたいもんですね。

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  2. ssさん、サイトにお越しいただき有り難うございます。さて、答えです。新卒と転職に分けます。

    1、新卒の場合。

    今はチャンスです。外資系が採用を増やしています。(と言っても、一回新卒採用がピークの1/3まで沈んで、そこから+60%、+40%なので、元のピークの8割にも届いてはいませんが、それでも回復はしてます)

    このサイトの就職/転職のラベルの所にも幾らか書いておきましたので、詳細はこちらを参照願います。

    そして、業界に入って、2年間で最初のスキルを確立させましょう。そうすれば、転職市場に乗れます。そこで人材登用でガンマロングしている比較的小規模な運用会社/ヘッジファンドを探す事になると思います。2年間、リーマンショック等による大殺戮に巻き込まれず、流れ弾に当たらない運さえあれば大丈夫です(うーん、2年もつかなー、どうでしょう、うーん)。後は以下2を参照願います。

    2、転職の場合。

    特段裏技はありません。自身のスキルを売りにして、ヘッドハンターや同業者の友人知人に「こんな環境でこんな仕事がしたい」と言うのをまき散らして、ご縁を待つ事になります。外資系の大手やヘッジファンドの大手では、今となっては人材登用でガンマロングをしている所は多く無いかも知れません。規模の小さい所で、成長している所を探す事になると思います(これが中々難しいんですが!)。地域で言えば東京より香港やシンガポールの方が探し易いと思います。

    狙い目のポジショニングとしては、筆者個人的には、やはり「のび太」です。出来れば大長編ドラえもんののび太がいいです。

    昨今、出来杉君、あるいは出来杉君のIQをちょっと下げて目つきをちょっと悪くして世渡り上手にしたようなスネ夫君は業界に沢山居ます。ここは競争が激しい。しかし、金融業界の出来杉君やスネ夫君は、どうも人柄の成熟に欠ける面があったり、有り体に言えばいけすかない奴である事も比較的多い訳です。

    一方、良い人なだけでもヘッジファンドは中々務まりません。日系のバイサイドなどですごーく人柄の良い人は居たりしますが、うーんと言う感じになる事も少なくない気がします。

    上のエントリーでも書いた通り、規模の小さいヘッジファンドだと、人柄がまともな人を採用すると言うのが一番のコンプライアンスです。自分だけ儲けるために見えない所で勝手に不正を働き始めたり、小さい社内でパイの分捕り合い等をされてはおちおち事業の立ち上げもままならない訳で、困る訳です。でも良い人なだけでもなぁと悩む訳ですね。採用者はここでジレンマに立たされるのです。筆者のシンガポールの同業者メイトも、部下を雇う際にここで大変だった等と言っていたように思います。

    そこで「のび太」の登場です。えっ?のび太は全然デキない奴じゃないか?
    いえいえそんな事はありません。

    周知の通りのび太は寝る能力は半端ないです。相場が幾ら荒れても、ヘッジファンドで明日も分からない生活で安眠出来るのは、結構重要です(本当です)。

    しかも、射撃に関してはのび太は凄いです。のび太が銃を手にすると案外強いのです。

    そして、根っこの性格がとにかく優しいし、人間としての良心があります。

    もうこれは買いです。

    社会人で言えば、ヘッジファンドでプレゼンスキルだの、社内折衝能力だの、企画書を書いたり通したりする能力だの、部下を活用する能力だのは全く要りません。ビジネスパーソンとしての整った能力は不要なのです。

    マーケットで儲かりそうな対象を「射撃」する能力があり、明日が分からなくても「瞬間安眠」出来る能力があり、そしてコンプラ面も安心で一緒に働いて清々しい「優しさ」があれば、採用したい人は多分居ます。

    無茶苦茶優秀だけど人として感じ悪い人より、無茶苦茶優秀じゃなくてもいいから比較優位で直ぐ役に立つ取り柄があって人としてまともな人、と言うニーズは案外ある訳ですね(意外と思われるかも知れませんが)。

    ・・・と言う訳で、「”のび太”力」を磨きながらひたすら職探しすれば、運が良ければ人材登用でガンマロングしている会社が見つかるかも知れない。と言う辺りでもって、筆者からの結論に代えさせて頂きます(裏技や必殺技等でなくて、恐縮です)。

    SS様におかれましては、今後益々のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

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