2012年4月9日月曜日

○主に純ドメ大学生向けの「道具としての」英語学習法



今回は題名の件。

先般筆者の元に、大学生と思われる学生さんから英語の学習法についての質問が来た。筆者は元々純粋ドメスティックの非帰国子女であり、TOEICも10年以上前に受けた時の890点のスコアがあるだけで、特段英語にエッジがある訳ではない。筆者が英語についての事柄を書くと、ちょっと英語の専門家のかたからするとアレな内容になってしまうだろうなあと言う事もあった。そのためこの手の内容については余り詳細をブログに書く予定は元来無かった。

とは言え、学生さんからの質問を受けて、少し考える所があった。つまり、純ドメ・非帰国子女の人間が、あくまで英語をビジネスのツール・道具としてそこそこに使いこなせるまでに、比較的短期間で変な落とし穴にはまらないで到達するためのノウハウ、と言うのは多少ニーズがあるのかも知れないなとも感じた。

そんな訳で今回は、主に純粋ドメスティック、非帰国子女の学生さん向けに、完全にネイティブみたいに流暢になるのではなく、就職やビジネスで使える程度になると言う観点からの「道具としての」英語学習法について書いてみようと思う。


○英字新聞と映画を題材に使うのは、英語学習初学者の「2大つまづき要因」。お勧めしない。

さて、英語を学習するとなると、何故だか分からないが「政治や経済に詳しくなると同時に英語を学びたいので英字新聞を購読しようと思います」「映画が好きなので映画を題材にリスニングを学びたいと思います」と言った人が出て来る。まあ随分前向きな事でそのマインドは買いたいようにも思うが、これが英語学習の大きな落とし穴になっているように思うので、先ずこの点について書いておきたい。


筆者は、英字新聞の購読や映画を題材にした英語学習は、ビジネスで道具として英語を使うと言う観点で英語学習を考えた場合、特に英語学習の初期においては全くお勧めしない。趣味としてなら各自の自由だが、端的に言えば効率の良い学習法ではないからである。英語新聞・雑誌の講読に手を出す、映画のリスニングにチャレンジすると言うのは英語学習の初学者で良くある「2大つまづき」のように思う。

なぜ効率が悪いのか。

映画での英語学習はスラング等多いし、喋るスピードも特に言い争い等のシーンになると非常に速く、内容もストーリーに応じて多岐に渡るため難度が高すぎるからである。外資系企業で仕事をしていた事があり、海外マーケティング等同行の経験もあり、シンガポールで生活している今でも筆者は映画をきちんと聴き取り切る事は出来ない。人によっては、スラング等も含めて学ぶのが生きた英語ではなかろうか云々と思うそうだが、これも筆者は賛同しない。スラングなんてそんなに知らなくても仕事で英語を使う上では別に問題はないし、ノンネイティブで大して上手くもない癖に上手く見せるために取って付けたようにスラングを使おうと言う雰囲気が見えてしまうと逆に物凄くみすぼらしい。普通の英語を普通に使えれば仕事ではまずはOKなのであり、少なくとも学習の初期に取り組むような事柄ではないのである。

英字新聞・雑誌はなぜ効率が悪いかと言うと、これらは読んでも上達の実感も掴めず自己満足で終わる事が過半だからである。周囲で、「上級者になってからの趣味・日課・仕事の必要上の読み物ではなく、英語の初学者の段階の学習教材として」英字新聞や英語雑誌に手を出した人で英語で仕事等出来るようになったと言う人を筆者は殆ど見ない。本人としては、受験英語ではなく生きた英語を学びたい等と言った事を考えて居るつもりなのかも知れないが、英語もさして上手くもならないし、多少時事のニュースを英語でかじったからと言って就職等の役にも社会人になってからの役にも立たないし、何よりも直ぐ挫折してしまうのは必至である。新聞雑誌に書いてある程度の情報は社会人になってから幾らでも浴びられるし、また瞬時に陳腐化もする。ある程度英語がビジネスで使えるようになって仕事の必要性等から自然と英語の雑誌、新聞、レポート論文の類いに手を付けるのであればともかく、学生時代に付けるべき・時間を割くべきは日々の情報の消化ではない。将来の資産になるような、もっと基礎体力的な知識体系・思考体系なり、スキルなりであると思う。


○英語教育産業のセールストークを恐れる必要はない。

あと英語学習で良く在る落とし穴が、恐怖を煽るセールストークだ。「election(選挙)とerection(勃起)の発音の区別が出来なくて恥をかく日本人」→だから仕事で英語等を使う間にきちんと学ばなくてはいけません、とか、とにかく恐怖を煽る類いと言うか。こうやって、「完璧な英語を話さないといけない」と言う感覚を煽るような類いについては、筆者は全く賛同できない。

理由は、実際の所こんな類いで恥をかいたり問題になったりする事など殆ど全くないからである。実際の会話にはシチュエーションや文脈がある。オフィスや公の場で、初対面の同業者が、金融業界のマーケット動向の話をしていたら、普通エレクションと言うのは選挙であり勃起ではない。

更に言えば日本人は例えばlとrの区別が苦手な事も多くの外人は知っているし、ある程度の品性のある外人であれば英語を一生懸命学んで英語で話してくれている日本人を、多少発音が変だからと言って笑ったりする事は殆ど無い。文脈等からちゃんと理解してくれるものだ。あなたが日本語で一生懸命話してくれている外人の発音が多少変だからと言って笑うだろうか?普通の感性であれば頑張ってくれているなあ、日本に興味を持ってくれていて有り難いなあと思うだろう。そう言う事である。それを笑うような人間の人間性や品性は何人だろうがたかが知れていると考えれば良いし、単に付き合わなければ良いだけである。

加えて、強烈な訛りのある発音で得てして文法も適当な、インド人やシンガポール人の英語でも、彼らは堂々と仕事をする事が出来ている事も考えてみると良いと思う。実際の所細かい所を気にする必要は(特に初学者のうちは)全くないのである。


○日本人に鬼門のリスニングとスピーキングは、2-3ヶ月でも語学留学してしまうのが一番手っ取り早い。

純ドメで日本で英語教育を受けて来たいわゆる一般的な日本人の場合、文法やリーディングについては受験英語で殆ど問題無いと言ってよい。となると問題はリスニングとスピーキング、と言う事が多い。


リスニング/スピーキングの対策については、3ヶ月、最低でも2ヶ月位、夏休みにでもホームステイでアメリカかイギリスの語学学校への遊学でも良いので海外に実際に行って英語漬けになるのが一番早いと思う(オーストラリアとかフィジー等の語学留学もあるにはあるが、発音等変な癖が付き得る事、治安や英語学習のモチベーション維持のしづらさ等の面から個人的には余り薦めない)。

以前もブログで多少書いた氣もするが、リスニングやスピーキングを鍛えるには、特に学習初期の所で、一日中英語漬けの時間を取る事が非常に重要になる。1日1時間を1年間学んでも、英語が脳に染み付いてくる「閾値」に中々到達出来ない(そうしているうちに挫折する)。3ヶ月位1日10時間英語漬けになる、と言った時間を取る事が英語学習の最初の関門を突破するにはどうしても必要になるのである。

いったん集中的に英語漬けになり一回「英語脳」とでも言えば良いだろうか、英語を和訳せず英語のまま処理する回路が脳に確立してきて時折夢を英語でみる等するようになってくると、後は日本に戻って細切れの学習でもリスニング等も伸びる段階に入れる。金銭的事情・時間的制約等あるかも知れないが、初学者である程先ずはこの選択肢を検討される事をお勧めしたい。但し、出来るだけ日本人比率の少ない語学学校にホームステイで行き、滞在中も日本人同士でつるみ過ぎないのは条件である。


○教材としては、つまらない事はよく理解出来るが、TOEICやTOEFL対策中心で勉強するのが初学者には分かり易いし上達も早い。

短期の語学遊学と平行して何をやると「仕事の道具としての英語」として効率的かと言うと、やはりTOEICやTOEFL等の試験対策を英語学習のペースメーカーにするのが、特に英語学習の序盤戦では一番効率的だろうと思う。つまり、
試験対策英語だったり、テクニックや受験回数の多さによる慣れ等が必要な類で必ずしもピュアな英語力を測る試験とは言えないにせよ、内容が多少つまらなくても、「それでもやはり」TOEIC900点(学卒就職を考えている場合)かTOEFL iBT100点越え(将来留学等の進路も考えている場合)等を目標にして、こう言った対策に集中する事をお勧めしたい。理由は幾つかある。

1.勉強進捗のペースメーカーに出来る。

2.TOEIC、TOEFLどちらでも、日常的な会話についての語法の学習とリスニング対策が出来る。TOEFLの場合スピーキングのテストもあるので話す方も鍛えられる。
3.これらの資格で高得点を上げておく事で、将来英語を使う会社・仕事・職種に就ける可能性が上がる。

1については、勉強の序盤戦では重要な事だと思う。映画や英字新聞による勉強法が余り効果的ではない理由も、勉強進捗の測定がしづらい事も背景にある。

2については、文法問題やリーディングは受験そのものでつまらない、リスニング等も天気予報や日常会話のリスニングでつまらないと思われるかも知れない。しかしTOEICやTOEFLのリスニング問題対策のCDをiPod/iPhoneにでも落として、何度も何度も聞いて完璧に解けるようにし、かつリスニングCDに合わせて(カフェなどで勉強する際など小声で構わないので)必ず自身でCD音声のマネをして声に出してスピーキングも何度も何度も、CDと同様に流暢に発話できるようになるまで練習してみると効果がある(確かシャドウイングと言う)。

この場合、聴くと発話するのを重点的にやる事が非常に重要である。簡単な内容でも舌が回らない事、慣れるまで頭が相当疲れる事に当初驚くと思う。純ドメだとその位、脳の中に英語を英語のまま聞いて話すと言うチャンネルが確立していないのであり、これが純ドメ組にとってリスニングやスピーキングが難しいと感じる理由なのである。

リスニングとスピーキングは能力的にワンセットであり、TOEICやTOEFLのリスニング程度の内容・スピード(これでもニュースや日常会話よりやや遅い)について流暢に口が回るようになると、同時に聴き取りの力も急激に改善し、自然と聞き取れるようになる。恐らく脳の仕組み的に関連付いた能力なのだと思う。

繰り返しになるが、これも1日1時間を1年やるより、1日5時間・10時間と言うのを3ヶ月集中的にやる期間を作り、後は週に1-2回フォローアップで触る程度、と言った方が伸びる。大学英語はクリアしたが実用英語の段階に到達しない、と言ったレベルの人はほぼ間違いなくこの「集中的に英語脳のチャンネルを確立する」と言うプロセスが必要と思う。このプロセスを経ると、英語のニュース番組のような綺麗な英語のTV番組であれば、大体聴きとり出来るようになると思う。

3については、たかが試験と言ってしまえばそこまでだが、「仕事の道具としての英語」として考えると非常に重要なポイントである。

英語が上手くなるには仕事や留学等で実際使うのが実際の所やはり一番の近道である。勿論TOEICが900点内外あったから/TOEFLで100点程度あるからと言って流暢に英語が使えると言う事は無い。しかしハッタリでも所詮試験英語レベルでも履歴書に書いてアピール出来るようになる事で、とにかく仕事・留学等のオポチュニティが広がるのである。これが重要なのである。

仕事でも最初のうちは半ばハッタリでやって行く事になる訳だが、やはり仕事や日常生活で英語を使っていると、上達は段違いに速くなる。一方で、「英語新聞等読んで英語の勉強はしています、でも資格のスコアはありません」と言うのは就職の際等では通用しない。先ず英語を沢山使う機会が得られないと言う事になってしまうのである。

特に学生さんが新卒の若いうちから英語を使える職場で仕事が出来るか否かで、英語力はどんどん差が付く事になるので、「たかが試験」「TOEICの得点は英語力を反映しない」等とシニカルな事を言う人の事は無視して、試験テクニックでも何でも活用していいので、先ずは履歴書に書ける程度のスコアをきちんと取っておく事を特に純ドメの一般のかたにはお勧めしたい。

それに試験とは言え、TOEIC/TOEFLとも英検よりは実践的だとは思う。難度的にはTOEICよりTOEFLの方が高く、リスニング内容も政治・経済・科学等の講義の一部分を聞いて答えるような感じになるので、TOEICがどうしてもつまらな過ぎるという事であれば、TOEFL対策をすれば内容のつまらなさも多少は補えるだろうとは思う(但しTOEFLは留学時に必要になる試験であり、日本企業の人事ではTOEIC900点ならピンと来てもTOEFL iBTが100点と言われてもピンと来ない可能性もある事は添えておく)。


○その他(仕事に関わる語彙や表現の学び方、留学のすすめ等)

その他参考までと言う事になるが、筆者の場合はTOEICに加えて米国証券アナリスト資格、CFAの勉強の過程で金融英語を補った。受験勉強のテキストも英語、会社の経費で通わせてくれた対策クラスも英語講義、空いた時間に英語テキストのオーディオCDを流しして復習し、試験も英語、これを3次試験までやったので読むほうも聴くほうもだいぶ鍛えられたように思う。何より仕事で使う内容と直結だった事もあるのでその意味でも良かったように思う。仕事で英語を使うと言う事であれば、TOEICだかTOEFLだか+自分の分野の英語、程度を深めればそれで十分のように思う。とは言え、純ドメの学生にいきなりCFAを受けさせると言うのは多少酷な氣もするし、先ずは一般的な英語の試験の対策から始める事をお勧めする。この辺は自己責任で対応して欲しい。


また、大学生のまだ序盤戦の学生さん向けには、場合によっては大学の交換留学制度等の利用も検討する事を強くお勧めしたい(この場合、恐らくTOEFLを必至に勉強する事になる)。日本の大学が無名であっても、案外欧米や香港・シンガポールの有名大学等で交換留学が出来ると言うプログラムがあったりするものである。こう言った環境下で1-2年FinanceなりEconomicsなりの分野で交換留学出来るのであれば、卒業が1年位遅れても明らかに英語も金融面の知識面でも就職等で有利な立場に立てるだろうと思う。筆者の周囲でも、日本の大学自体は無名大学だったが交換留学で海外の有名大学にてファイナンスや経済等を学んで、日本の大学名では書類選考漏れになってしまうような所で仕事を決めた者等も居る。


○まとめ 〜夢を醒ますようで大変申し訳ないが、最後に現実を〜

さて、以上くらいで、「仕事でノンネイティブのジャパニーズとしては英語が使えるね」と言うレベルには多分概ねの人が、元々の素養には余り関係なく、努力さえ出来れば到達出来ると思う。

しかし最後に現実を述べておくと、この程度やったからと言ってネイティブになるのは、純ドメでは相当難しいと言うか多分殆ど無理だと思うと言うのが現状の筆者の実感である。上記程度で達成される英語力は、あくまでも「ビジネスの場で問題無く」「相手に”この人日本人で、英語は後付けなんだよな”とある程度氣を遣って貰って」成立する程度の英語力と言う事である。

はっきり言ってしまえば、ビジネス英語は、話す分野も内容も概ね一定しているし、比較的シンプルな表現で伝えたい内容が伝われば良い訳で、比較的簡単なカテゴリーなのである。本当にネイティブみたいになるとか、同時通訳等出来るようになるとか、例えば小説や映画のような叙情感だとか瑞々しさのある表現、物書きのようなニュアンスのある表現を使おうとかなると、ハードルは物凄い高くなる(イキナリ英字新聞や映画に飛びつく事の無謀さがこの辺りでご理解頂けると幸いである)。筆者はこの辺はもう、半ば諦めてしまっている。なので上記以上の英語ノウハウの話は筆者には出来ない。この点は断っておきたい。

また、日本語でも得意でない事は英語を学んでも出来るようにはならない。日本語で女性を口説くのが苦手であれば英語が出来た所で外人女性を言葉巧みに口説いたりする事は難しい。日本語の社交パーティーが苦手であれば英語が出来ても国際会議だパーティだの類いは得意にはなれないだろう。日本語でプレゼンが苦手なら英語でもさして素晴らしいプレゼンにはならないだろう。この点も夢見がちなかたもあられるようなので、あらかじめ断っておきたい。

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