2012年6月12日火曜日

○ヘッジファンドの中年以降のキャリアステップ その1:そんなものあるのだろうか?とは思いつつも書いてみるのまき。

さて、本日は題名の件である。
  
筆者自身、5年後・10年後には一体何をやっているのかのうと言うのは良く分からないが、筆者ももういい年だ(この商売で30代もそれなりになると、職業人人生についてはもうそれなりに佳境である)。多少は将来の方向性なり、どんなライフスタイルを過ごしたいのかについて思いを馳せるのも良かろうと思う。

また、どうやってヘッジファンドのアナリスト・運用者といったキャリアのスタート地点に立つのかについては幾らか過去に書いて来たが、「中年以降のその後」については余り書いていなかった。この辺りについては、ヘッジファンド業界に興味のある者、あるいは既にこの「相場の仕事のラビリンス」に入り込む事になった比較的若手の皆様(Welcome to this deep "Matrix" world!)等にとっても興味のある所であろう。

そんな訳で、基本的には「ヘッジファンドにキャリアステップ?そんなものないし、戦略的キャリア構築だの定年退職に確実な老後だの安定した生活だのが好きな人がやるような仕事ではない」と言う一言に尽きる訳だが、可能な範囲で「ヘッジファンドの中年以降のキャリア、あるいは想定される”あの人は今?”的なもの」について、何回か(理想的な成功例、ヘッジファンド起業について筆者が見て来た実際、一般向けの会社員キャリア的な落ち着き所、の恐らく3回)に分けて書いてみたいと思う。


ありうる中年以降 その1:ハッピーリタイヤ、あるいはハッピーリタイヤ可能な資金でもって事業や社会貢献活動等を行う。

これは、多くの人が思い描く、ヘッジファンドキャリアの理想的なゴールと言えるかも知れない。例えば以下のような感じだ。

・生活費は所謂不労所得から:生活資金は不動産や配当・クーポン収入重視で手堅く運用し、家賃や配当等のインカムゲインにより十分に確保されている。或いはプライベートバンクに手堅くやるようにと言う事で投げてある。人によっては保有株を担保に入れて借入をしてレバレッジをかけて事業等に更に投資して勝負している人等もいる(但し、この場合担保に入れている保有株が暴落すると、追い担請求、担保株式強制売却と言った壮絶な逆回転になるので「アグレッシブな効用関数を持つ人向け」であり、個人的には余り勧めない)。もうお金のために働く必要は無い。

・自己実現としての仕事:その上で、若手育成と言う事で、若手の立ち上げたヘッジファンドで有望なもの等に自己の資産の一部を投資したり、自身はトレードせず若手運用者発掘用に自身のヘッジファンドを運営し続ける場合もある。自身のヘッジファンド運用での経験から、どんな人が上手いか・適性があり有望かと言うのは大体分かるものなので、それを活用する事になる。あるいは投資やトレードが好きな人の場合、シニアになっても自身でも現役で運用を続ける人も居る。何にせよ生活費分のインカムゲイン運用とは別に、大概は自身のヘッジファンドや見出した若手運用者に自身の資産の一部を投入しており、これが巧みな運用で増えて行くので資産も更に増える。つまり日々の生活費のために仕事をやる必要はないし、日々の生活のために仕事をやってはいない。

・慈善事業・社会貢献活動等:各自興味のある分野で慈善事業、社会貢献活動等を始める。あるいはアート分野やワイナリー運営等、大して収益にならなくても良いので「人生の豊かさ」を感じられるような分野を手掛けたりする。

こう言った層においては、ハッピーリタイヤとは言っても上記活動のために法人等作っている場合も多く、そう言う意味では引退せず「現役事業家」の場合も多い。しかし日々の糧のために仕事をする必要は無い。ちなみに、上記のような成功者でも、南の島で毎日バケーション…といった生活を、休暇で一時的にではなく何年でも延々と続けていると言った人は意外にも多くないように思う。飽きてしまうし、社会との接点が欲しくなるようである。

言うまでもなくこう言った層はいわゆるこの業界の成功者である。元々はこう言った事を若いうち(大体40代位)に実現したい!アーリーリタイヤだ!と言うアツい夢を持って(あるいは明示的にそうは宣言しなくとも潜在的にそう言った願望を持って)外資系金融やヘッジファンド業界に多くの人は入る(ないしはこの業界がもっとギラギラした輝きを放っていた頃は入った)ものだ。

しかし実際に40-50代位で実際にこの段階に到達出来ている金融同業者の日本人は、割合としてハッキリ言ってそんなに多くはない。と言うか確率で言えば滅多に居ないといって良いと思う。一見所得が高くて都心のマンションに住み子供を芸能人が通うような私立学校に通わせて週末は小型クルーザーで海に出て云々の同業者でも、その過半は出費・出る方も多いため、引退可能な状態にある同業者は存外少ないように見受けられる。学生さんや金融業界の外の異業種のかたで夢を見過ぎな向きには、これが現実なので夢を醒まして頂ければ、と言う事を告げておきたい。

ただまあ、上記に列挙したような条件を満たしている成功者がゼロではないと言うのがこの商売の面白い所で、色々な世界があるものだなあ、色々なライフスタイルがあるものだなあと言うのを身近に垣間見る事が出来る面はある。こう言う人が周囲に全く居なくてそんな生活想像もつかないと言うのと、周囲にこう言う人が実際に居る事を実感できると言うのは結構な差である。こう言った人と実際に同じ空気を吸って接しているうちにそう言った人に感化される面(いわゆる成功する人の思考に自然と触れられる等)や考えさせられる面(いわゆる成功した人でも健康や結婚関係・異性関連、子供と言った誰もが悩む所で悩んでいたりもするのを見て、幸せの定義について考えさせられる等)もあり、面白い所ではある。

さて、先ずはつらつらと「ヘッジファンドキャリア、理想形」と、「それが実現できている率は一般の人が思っているほど高くはない事」、「それでもこう言う人はゼロではないしたまにいる」と言った点について書いているうちに、それなりの分量になってしまった。今回の「理想形」はこの辺にして、次回からはより現実的な「ヘッジファンドキャリア、中年になってあの人は今」的な内容を記載しておこうと思う。

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